折鶴と客星と2010/01/17 12:53

 国立天文台ニュース2010.01の小栗順子さんの、藤原定家とメシエ1星雲を扱った切り絵に、折鶴を見つけた。小栗さんは、お会いしたことはないが、国立天文台図書館司書で切り絵作家というかたで、国立天文台のカレンダーにも、すばらしい作品を提供している。

 …で、細かいこと。デザイン的な配置なので問題はないけれど、藤原定家(1162- 1241)の時代に、折鶴はたぶんない。文献上たしかな折鶴の存在は、17世紀末頃である。もっとも、定家撰の百人一首を元にした歌かるたも江戸期のものなので、かるたと折鶴という図案は相応しいとも言える。

 なお、後年メシエ1(超新星残骸、かに星雲)と言われることになる超新星の出現に関して定家が書きのこした『明月記』(『名月記』は誤植)は、後世そう名付けられた日記で、以下のように記されている。

後冷泉院 天喜二年四月中旬以後丑の刻 客星 觜 参の度に出づ 東方にあらわる 天関星に孛す 大きさ歳星の如し
(『明月記』藤原定家 から読み下し)

 天喜二年は1054年で、「客星」は突然現れた星のこと。「觜」はオリオン座λ星・メイサ、「参」はオリオン座δεζの三つ星、「天関星」は牡牛座ζ星、「歳星」は木星のことだ。
 というように、この超新星出現は、定家の実見ではなく、伝聞である。

 そして、最近のニュースによると、オリオン座α星・ベテルギウスも、近く超新星爆発する傾向が見られるという。ベテルギウスは近い(と行っても600光年以上だけれど)ので、超新星爆発すると、満月と同じぐらいの等級になるらしい。しかもそれが一点集中で光るわけだ。まあ、天文スケールなので、いつのことかはわからないけれど、見てみたいような…。

XX年X月以後 平家星 眩耀 月の如し

(源氏星→平家星:諸説あるらしいけれど。修正 1/19)
 しっかし、このネタ、マヤ暦の2012年がどうとかと一緒に、終末論のひととかが使いそうだなあ。(じつは、暮れに映画『2012』を観てしまった)

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