Busy Beetles2009/12/06 01:19

Busy Beetles
 先週の日曜日、「多面体フォーラム」に出席するために原宿に行ったさい、すこし早く着いたので、会場の近辺を散歩し、ボーネルンドという玩具店で、エッシャー風敷き詰めパズルを見つけて買った。何種類かの虫のかたちで平面を埋め尽くす「Busy Beetles」というパズルである。脚が四本+触角二本というかたちは、昆虫としては問題があるが、よくできている。写真では四種類を使っているが、八種類あるので、これを全部使おうとすると、難易度はかなり高い。
 多面体フォーラムに出席していた、パズル研究家の高島直昭さんは、さすがにこれをちゃんと「押さえて」いて、姉妹品として、鳥のかたちのものもあるということだった。
 ちなみに、ボーネルンドというのはデンマーク語で「子供+森」とのこと。メーカーはアメリカ。

悪魔を折りますよ2009/12/06 01:22

 散歩は緊張する。
 まだあまり仲良くなっていない友だちと、都内の高円寺駅周辺を歩く。私は目を動かす。知らない街を好きになれるかな?
(略)
「お寺に行きましょう」
「その前に昼ごはんは?」
可愛い喫茶店で昼食をとる。食後のオマケに付いていたチョコの包み紙を彼は折り始めた。
「僕は折り紙が、得意なんですよ。本当の紙だったら、僕は悪魔が折れます。精巧ですよ」
「神は折れないんですか」
「神は一般的なイメージがないですからねー。悪魔は、シッポとか、角とか、みんなに通じるイメージがありますよね」
折り紙が上手な人なのかー、と、でき上がった包み紙を見てみたが、普通の鶴だった。
(略)
「上を見てください。モミジのトンネルになっていて、空が細切れに光ってます」
「本当だ。こんな風に僕は見上げたことがなかったです」
「本当の紙で、今度折り紙を折って見せてもらえますか?」
「一時間くらい放っといてもらえれば悪魔を折りますよ」
「私は、高円寺の街が、鼻血が出るほど好きになりました」
「ありがとうございます」
 僕がお礼を言うことじゃないですよね、と言いつつ今日の中で一番の笑顔になっている。あ、この人も、散歩に緊張していたのかな?
『高円寺に高円寺はありますか?』(『指先からソーダ』(山崎ナオコーラ著)から)

 というわけで、折り紙の悪魔である。折るのに時間がかかることなど、まちがいなくわたしの作品である。このエッセイが、新聞に掲載されたときにも「おお、折り紙の悪魔だ」と気がついていたのだけれど、単行本になっているということを知って、今日買ってきた。
 その後、山崎さんとこの彼は、仲良くなったのだろうか。まあ、どこまで実話でどこからフィクションなのかもわからないが、わたしの考えたものが、ミーム(文化的遺伝子)として、思いもよらないところでなにかをなしていると思うと、素直にうれしい。
 ただ、わたしは、折り紙の技で女性にモテたという話はあまり知らない。「手が好きで やがて すべてが 好きになる」(時実新子)という一句があるように、男性の手に惹かれる女性が多いという話は聞かないでもない。そういえば、読んでいないけれど、山崎さんも『手』という小説を書いていたはずだ。
 ボーイフレンドが複雑な折り紙作品を折っている。その手を黙って頬杖をついて見ている女性。なんて図は、絵にならなくもなくもない。
 いや、待てよ。折り紙を折ってガールフレンドの気をひこうとしたけれどふられた、という話を聞いたことがあったぞ。別に折り紙のせいじゃないと思うけれど。
 それにしても、山崎ナオコーラさんという筆名は、辛酸なめ子さんには負けるけれど、とんでもないよなあ。考えてみれば、手塚治虫という筆名も変だけれど。

比率を計る男2009/12/06 17:15

1対√2ではないA4
 昨日、お好み焼き屋さんに行った。電子伝票(?)として、A4と書かれたプレートを渡された。たぶん、A4番テーブルだったからだ。このプレートは、A4なのに、 210mm×297mmではなく、1対約√2でもなかった。1対1.75だった。

第7回折り紙の科学・数学・教育 研究集会2009/12/13 19:57

 第7回折り紙の科学・数学・教育 研究集会で、世話人をつとめた。
 この研究会は、会の名に教育もうたいながら、その方面が手薄なのと、人文科学方面の広がりがないことが気がかりだったが、今回は、岡村昌夫さんによる、幕末から明治の箏曲家・葛原勾当の遺した折り紙作品に関する歴史研究と、山梨明子さんの、専門学校での、立体感覚を磨くための折り紙授業の話が、その渇をいやしてくれた。

 もちろん、計算機関係、数学関係の話も面白かった。そのとき聞き損ねたというか、話題にしそこねたのは、折り紙作品の複雑さや「無理のなさ」を判定する数値指標について。

 妙に印象深かったのは、伝承折り紙の「フグ」が、安政の大地震以降「ナマズ」になったのでは?という岡村のさんの説。

世界天文年記念 宴会芸2009/12/16 22:26

ピサの斜塔
 今年は、ガリレオが天体に望遠鏡を向けてから400年ということで、世界天文年である。
 その今年も残り少なくなってきて、今日は、勤務先の野辺山宇宙電波観測所で、忘年会があった。
 同会でビンゴゲームがあったのだが、カードの穴のかたちを見ていて、ふと思いついた。それをくるりときれいに巻けば、「ピサの斜塔」に見えるじゃないか、と。
 斜塔でガリレオが落体の法則をデモンストレーションしたのは、天体観測より数年前のことらしいので、これ自体は400年記念にならないけれど、なかなかのアイデアでしょ? 同僚の天文学者にもけっこううけた。

食卓の奇数角形2009/12/20 20:16

食卓の奇数角形
 写真上は、夏に、山梨県北杜市のレストランで見た、断面が五角形の箸。
 写真下は、昨日、小金井市のレストランで気がついた、断面が九角形のソース瓶。九角形は珍しい、…と思う。ちなみに、正九角形は、定規とコンパスの有限回の使用では、正確には作図できない。
 平行にはさむ場合にすべりにくいという構造上の特徴を意図して、奇数角形にしている、ような気がしないでもない。