地上に降りしく奇しき光2010/01/27 23:00

木枯らし途絶えて 冴ゆる空より
地上に降りしく 奇(くす)しき光よ
ものみな憩える 静寂(しじま)の中に
煌めき揺れつつ 星座は巡る

ほのぼの明かりて 流るる銀河
オリオン舞い立ち 昴はさざめく
無窮を指さす 北斗の針と
煌めき揺れつつ 星座は巡る
(『冬の星座』(1947 堀内敬三作詞 ウィリアム・ヘイス作曲) 文字表記は未確認)

 数日前にラジオで耳にしてから、唱歌『冬の星座』が、頭のなかでぐるぐる廻っていて、たまらず、ネットで購入した。
 野辺山観測所は観測シーズンなので、機器はフル稼働だ。電波観測は昼も夜もないけれど、陽が落ち、微かにアンテナの機械音が響く中、見上げる夜空には、まさに、くすしき光が満ちている。(今日は月齢が12なので、ここ数日は月が明るすぎるけれど)
 「くすし」なんて言葉、まあ使うことはないが、「不思議」や「神秘的」などより、深い感情が呼び起こされる。

 『冬の星座』から連想する唱歌に「♪月なきみ空に」もあるが、これは、題を『星の界(よ)』というらしい。
月なき御空に 煌めく光
嗚呼その星影 希望の姿
人智は果なし 無窮の遠(おち)に
いざ其の星影 究めも行かむ

雲なき御空に 横たふ光
嗚呼洋々たる 銀河の流れ
仰ぎて眺むる 萬里の彼方(あなた)
いざ棹させよや 窮理の船に
(『星の界(よ)』(1910 杉谷代水作詞 フレデリック・コンヴァース作曲 文字表記は未確認)

 『冬の星座』のほうが、天界と地上の対比があって好みだけれど、「月なきみ空に」(『星の界』)の歌詞は、天文台のテーマソングのようだ。キュウリの船と言っても野菜の船じゃないよ。狭義では物理のことで、広義には、自然科学というところか。「人智は…」を言い換えれば、「研究は限りない。果てしない彼方へと、星々の神秘を解き明かしに行こう」で、「いざ棹させよや 窮理の船に」は、「さあ、科学の船で漕ぎだそう」という感じかな。