ワールドカップ2018の公式球2018/07/03 22:22


ワールドカップ2018の公式球の構造

サッカーワールドカップの公式球が、よくある正五角形×12+正六角形×20の切頂二十面体、いわゆるサッカーボール多面体ではなさそうなのが、気になっていた。モザイク状の模様が、「ふつう」とは違うのである。

写真を確認すると、革のかたちも正五角形と正六角形ではなく、図のような凸でない多角形6枚によるものだった。アルキメデスの半正多面体で一番近いのは、切頂六面体(正三角形8面、正八角形6面)であるが、頂点を結んでも、八角形は「正」ではなく、正三角形になる部分もねじれた配置で、切頂六面体にはならない構造である。

地図を見る2018/07/02 21:06

◆久賀島
ユネスコ世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に含まれる五島列島の久賀島。久賀島と言えば教会なのだが、神社もある。その名も折紙(オリカミ)神社である。

下の写真と図は、10年前に訪島したときに書いた『折紙探偵団』の記事『折紙散歩 再訪・折紙の島』からの引用である。折紙神社と折紙鼻(岬)は離れているのだが、折紙鼻の立岩がピンポイントに見える地点が湾の最奥部にあって、神社はその近くにある。その位置関係は、きわめてパズルじみている。

折紙鼻

久賀島パズル

◆日本海∽琵琶湖、渤海+黄海=ラクダの上半身
琵琶湖と淡路島のかたちが似ていることは有名だが、日本海も琵琶湖に似ていることに、最近気がついた。鏡像にすれば、琵琶湖最大の島である沖島に対応する位置に佐渡があるのも面白い。
琵琶湖と淡路島

日本海
そして、渤海と黄海がラクダの上半身になっていることも、最近気がついた。

話題の落ち穂拾い - 半年間の写真から2018/06/30 09:20

今年も半分終わりだ。諸々のことが滞り気味だが、なんとかかんとか...という感じである。
一月末に父が他界してからも、五ヶ月以上が過ぎた。日々は過ぎていく。

知り合いの某氏のように、月に何百葉も写真を撮ったりはしないが、それでも、この間に百枚ほど撮った。何点か紹介したい。

◆1月某日:昭和はじめの七夕(?)の写真
昭和はじめの七夕(?)
父の遺品から複写したものである。左から二番目が父だ。祖父が笹竹を持っているので、たぶん七夕祭りなのだろう。祭りのための正装か、子供達が白丁と立烏帽子で、祖父も着物なので、みごとなセピア色と相まって、幕末の古写真ですと言っても通じそうだ。笹竹にさげられたものをよく見ると、みな熨斗がついていて、短冊というよりポチ袋の類かもしれない。1930年代の長崎県佐世保の七夕は、いったいどういうイベントだったのだろう。父に聞いておけばよかった。

◆1月某日:供物の砂糖
供物の砂糖
葬式の供物の砂糖が、一、三、五、七になっていた。葬式では、いろいろなものの数を奇数にすることになっているらしいが、陰陽道的には、奇数は陽数でおめでたい数として扱われるはずである。葬式における奇数尊重は、いつごろからの習俗で、どのように定着してきたことなのだろうか。

◆2月某日:カラスは黒い
札幌のカラス
札幌でもカラスは白くなかった。インダストリアル・メラニズム(工業黒化)的な「スノーフィールド・アルビニズム」(?)が観察されなかったことを示す写真である。

イギリスの工業地帯周辺の蛾が黒くなったインダストリアル・メラニズムに関しては、昔、生物学の講義で、「煤煙そのものによって環境が黒くなったと思っているひとが多いが、大気汚染で樹皮上の地衣類などが減少して樹肌が黒くなって、黒い個体が鳥に捕食されにくくなったという説だから、勘違いしないように」と聞いて、「そりゃそうだ、環境が真っ黒くなるほど汚染していたら、蛾でも鳥でもひとでも生存が難しい」と納得した。地衣類は、大気汚染に敏感で、環境指標生物とも言われるらしい。

◆2月某日:ダ・ヴィンチのパラシュート
紙飛行機(新千歳空港)
ダ・ヴィンチのパラシュート(新千歳空港)
新千歳空港に、折り紙飛行機、航空機のミニチュア、ダ・ヴィンチのパラシュート(とヘリコプター)の模型などの展示があった。ダ・ヴィンチのパラシュートの二等辺三角形の頂角が50度ぐらいなのが気になった。前にそのスケッチを見たとき、なんとなく正三角形のように思っていたのだ。

すこし調べてみると、ダ・ヴィンチ自身は、「1辺が12ブラッチャで、高さもそれと同じ大きさの布製テント」と書いている(ブラッチャは長さの単位)ので、これにしたがったのだろう。辺と高さが同じなら、二等辺三角形の頂角は、2*arctan(1/√5)で、48.18...度である。

ダ・ヴィンチの記述も大雑把であり、やはり正三角形のほうがよいのではないかとも思う。この構造で、浮力(?)がどう働くのかはよくわからないが、なんとなく関係ありそうな、正四角錐の底面を除く面積と、全体の体積を考えてみた。すると、側面の面積一定で体積最大となるのは、側面が正三角形になるときであった。やや変な式になったのは意外だったが、答えが単純になる面白い練習問題だった。

◆3月某日:塙町のダリアの折り紙
塙町のダリアの折り紙
福島県立塙工業高等学校の生徒さんがつくったパネルの写真を、塙町役場の「まち振興課」のかたが送ってきてくれた。この作品の図は、ここで公開されている。パーツが単純なので、みんなでつくるのに向いている。

◆3月某日:高槻城址の鷺
高槻城址の鷺
地震発生時、空中に逃げることができる鳥は最強だよなあ、と思うことがある。

◆4月某日:土竜
もぐら塚
連続したモグラ塚を見ると、モグラの漢字表記が「土竜」である理由がよくわかる。ところで、地震発生時、モグラはその異変にどのぐらい恐怖するのだろうか。案外平気なのだろうか。

◆4月某日:ミステリーサークル
牧草地に現れたミステリーサークルである。種明かしをすると、ロールベールラップサイロ(円柱に梱包した牧草)が置いてあった跡だ。

◆4月某日:シャンシャン
シャンシャンのぬいぐるみ
折り紙の兜(『本格折り紙√2』のもの)をかぶったシャンシャン(生後すぐ。別名ピンクピン太郎)のぬいぐるみである。じっさいより丸っこくつくられているが、重さは本物と同じらしい。「いまのうちに見ないと赤ちゃんじゃなくなってしまう」と、妻はもう2度もシャンシャンを見にいった。

◆4月某日:2+2=4
2+2=4
東京外国語大学のキャンパスで見つけた数式のいたずら書きである。

数式が単純すぎるので、ところかまわず数式を書く奇癖を持つ、ガリレオ先生こと、帝都大学の湯川学准教授によるものではないだろう。そもそも、外大にはいわゆる理系の研究室はなく、キャンパス内でその方面の学会が開かれることもないので、彼が来ることもないであろう。

関係している可能性が高いのは、ジョージ・オーウェルの『1984』である。同書では、「党は、2と2で5となると告げる。君はそれを信じなければならない」という「2+2=5」のスローガンが示される。また、欧米では、疑いようのないことを「1+1=2」より「2+2=4」と示すことが多いようでもある。

つまり、こういうことだ。じつは、本邦はすでに「ビッグ・ブラザー」に支配されている。いっぽう、外大には留学生も多いので、外の世界を知るレジスタンスが多数潜伏している。彼らのひとりが書いた真実の叫びがこの数式なのだ。←最近の世相では、どうも冗談に聞こえない。

◆6月某日:ひとつ蛍
ひとつ蛍
今年も、北杜市長坂のビオトープ的な公園で蛍を見た。何年か前、自宅山荘でも1回だけ、ふらりと飛んで網戸にとまった一匹の蛍を見たことがある。棲息地ではない(たぶん標高が高すぎる)ので、だれかが採ってきたものが逃げたか、強風で飛ばされて離れ蛍になったのだろう。「蛍だ。珍しい。... 誰か亡くなったのかも」と妻にしらせたほぼそのとき、なんと、妻の友人が病気で幽明の境にあったことが、後日わかった。文字通り(?)の「虫の知らせ」的な話で、非科学的といえばそうなのだが、記憶や感情、詩情には、そういう部分もある。ちなみに、そのひとは回復した。

彼岸(かのきし)に何をもとむるよひ闇の最上川のうへのひとつ蛍は 斎藤茂吉

『計算折り紙入門』など2018/06/23 11:54

◆700年前の苦言
先日の折り紙の科学・数学・教育研究集会。そのあとの懇親会には、学生さんも多数参加したが、最近、こうした席の「とりあえずビール」ということがまれになって、飲酒をしない若いひとが多くなった。わたしの接する範囲のことだが、この10年ぐらいのことではないだろうか。飲みたいひとは飲めばよいが、無理にはすすめないというルールの定着である。世の中はよくなったり悪くなったりだが、これはよくなったことのひとつである。『徒然草』に書かれていたことが、700年の時を経てやっと理解されるようになったと思うと、感慨が深い。

世には心得ぬ事の多きなり。ともあるごとには、まづ酒をすすめて、強ひ飲ませたるを興とする事、如何なるゆゑとも心得ず。飲む人の顔、いと堪へがたげに眉をひそめ、人目をはかりて捨てんとし、逃げんとするを捕へて、ひきとどめて、すずろに飲ませつれば、うるはしき人も、忽に狂人となりてをこがましく、息災なる人も、目の前に大事の病者となりて、前後も知らず倒れ伏す。
(『徒然草』 百七十五段)

『徒然草』では、以下も引用したくなる。

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。(八十五段)
改めて益なき事は、改めぬをよしとするなり。(百二十七段)

『計算折り紙入門
上原隆平さんから、新刊の『計算折り紙入門 - 新しい計算幾何学の世界』を御恵贈いただいた。「複数の直方体が折れる展開図」の話など、多面体の展開図に関する研究を紹介する一冊である。あとがきに、上でも紹介した「折り紙の科学・数学・教育研究集会」の話があった。

◆最大体積の問題
四面体最大体積の問題
野辺山観測所の会議のさいに配られた菓子が、当地の気圧の低さ(標高1370m、気圧860hPa程度)のため、目一杯に膨れていた。野辺山では、コンビニエンスストアの袋菓子も大きく膨れているのだが、四面体のパッケージがみごとに膨れているのを見て、あらためて考えた。シートに伸び縮みがない場合、最大体積となる曲面はどうなるのか、という問題である。これは、以前このブログに載せた牛乳パックの問題と似ている。

「ラングレーの問題」など2018/06/10 21:05

◆ラングレーの問題
最近、『数学セミナー』の古い記事に関する話題を耳にした。それとは直接関係はないのだが、連想して、「ラングレーの問題」を思いだした。1920年代にE. M. ラングレーという数学者が数学誌『The Mathematical Gazette』に出題した初等幾何の問題で、日本では、50年ぐらい前に『数学セミナー』『エレガントな解答求む』にも出題された、知るひとぞ知る問題である。50年も前のことなので、同時代的には知らないが、数学パズルの傑作として名高い。

ラングレーの問題
図のように角度があたえられたとき、角度αを求めよ。

どうということはなさそうに見えるが、これを、初等幾何的(解析幾何を使わずに)に解こうとすると、かなり難しいのだ。中学校の受験で出題されたこともあるらしいが、解けるかどうかは運にもよると思われ、入試問題には向いていない。入試問題には向いていないが、解けるとうれしい問題である。

今回ネットを検索すると、この問題の一般化などを示した『ラングレーの問題にトドメをさす! - 4点の作る小宇宙完全ガイド』(現代数学社、斉藤浩)という一冊の本がでているのも知った。

解法の詳細は示さないでおく(わたしの解法は3本の補助線だった)が、答えは「きれいな値」で、現れる角度はみな整数比になる。三角形の角度が整数比になるということでは、[22.5°,67.5°,90°], [22.5°45°,112.5°],[15°,75°,90°]のような、「正規化した折り紙分子」(これを使うと、モデルが「きれい」になる)に関係がなくもない、と今回初めて気がついた。

ラングレーの問題(図形の調和)

というわけで、あらてめてしみじみと、この図を眺めていた。以前はあまり気にとめなかったが、図左に示したように、青と緑の三角形が相似になっているのも面白い。ただこれは、答えがわかって、相似であることもわかったという順番で、逆に、相似であることで答えを示す道筋は、うまくひねりだせていない。

また、これを、平行四辺形の、対角線による折り返しとみてみた(図中)。すると、きれいに点が一致する(図右)かたちになっていて、これまたきれいである。以前、ヴァリニョンの定理から封筒をつくったように、この特徴を折り紙の作品に活かせないかと、すこし考えた。残念ながらよいものはできていないが、図自体はほんとうに調和していて、額にいれて飾りたいぐらいである。算額にして奉納するのにもぴったりのようにも思えるが、残念ながら、それはすこし違う。なぜなら、和算には角度の概念はない、とされるからである。

◆七弁の花
七弁の花(『はじめアルゴリズム』三原和人)
数学をテーマにしている『はじめアルゴリズム』(三原和人)というマンガがあるということを知って読んだ。天才少年をことさらエキセントリックにせずに、少年らしく描いているのがとてもよかった。現在3巻まででていて、続きも楽しみだ。

さて。冒頭近く、特に説明もなく、七弁の花が描かれていたのだが、これはなにか意味があるのだろうか。スイセンやクチナシ、ツマトリソウの変異体、シャクナゲなど、七弁、七裂の花もなくはないが、絵は、花芯や葉から、そのどれでもないように見える。七は花弁の数に多いフィボナッチ数でもないし、正七角形が定規とコンパスでは作図できないなど、気になるかたちである。

◆長沢の丸石神(丸石神 その35)
北杜市長沢の丸石神
10年ほど前に確認した北杜市高根町長沢の丸石道祖神が、道路と土地の整備によって、前の場所から無くなっていることに気がついたが、無事50mほど離れた地点に安置されているのが確認できた。わたしの知る限り、最北の丸石神である。

三枚組の立方体2018/06/02 11:40

三枚組の立方体
先日の講習で、三枚組の正八面体を扱ったことから、立方体の三枚組の創作にわかに執心して、いろいろつくってみた。やってみると、その構造が、面に「絵」を描くのに向いていたのである。

写真は、ひとつを除き、正方形8等分の蛇腹によるものである。ここに示した「ボロミアンリング構造」だ。4対1の長方形で、しっかり立方体が組めるかたちである。これを用いれば、組んだときに模様ができるのではなく、モジュールごとに模様をつくることができるので、絵を描きやすいのだ。

ただ、無理に絵を描くと、置いときにふわふわするもののになり、エレガントさもなくなるので、塩梅が難しい。トランプのスーツ(ハートの裏はダイヤ、残り2面は模様なし)は、考えているときは面白かったのだが、やや無理やりな感じになった。矢印や「折図」の拡大記号、細い三角形などのほうが完成度が高い。

なお、感嘆符のものは、命名「ビックリ箱」、四分音符は「ミュージックボックス」である。熨斗や御幣の模様の「お祓い箱」というネタも考えた。

137など2018/05/28 23:45

◆方ツムリ(カタツムリ)
方ツムリ(カタツムリ)
九州コンベンションのとき、ベス・ジョンソンさん、川村みゆきさんらに、「反四角柱」の面白い展開図(飯野玲さん案)を紹介した。さきほど、この展開図をいじっていて、立方体状の殻のカタツムリ、名づけて、「方ツムリ」なんてものができた。裏がけっこうよい感じだ。
なお、反四角柱は、別のシンプルなアイデアも最近生まれた。いかにも前例がありそうなのだが、昨日の講習で、オマケモデルとしても紹介した。これらは、あらためてどこかで紹介したいと思っている。飯野さんモデルの工程も考えた。

◆辺の5等分の近似
1/5の近似
直角の8等分から、正方形の辺の5等分(近似)をつくるジョンソンさんの方法は初めて見た。
tan(90/8)=0.1989...≒0.2ということである。15cm用紙で、0.2mm以下の精度だ。
1:2:√5の直角三角形を使う、近似ではない方法があるので、あまり別の方法を考えたことはなかったのである。

◆137
今朝、観測所の玄関に示されていた昨日の見学者数が137人だった。微細構造定数の逆数がほぼこの値で、ウォルフガング・パウリが数秘術的にこだわった素数である。何年か前、『137 - 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯-』(アーサー・I・ミラー、阪本芳久訳)という本も翻訳され、面白く読んだ。ずっと昔、『自然現象と心の構造―非因果的連関の原理』(ユング、パウリ共著、河合隼雄訳)も読んだが、これは、当時も眉に唾をつけて読んだ記憶がある。

そして、今日、きれいな数字のならびの素数を見つけたのだが、これは、また別の機会に。

◆引用したくなる言葉
最悪ではない。「これは最悪だ」と言えている限り。 (『リア王』4幕)

ナチスが台頭しはじめたころ、オーストリアの批評家・カール・クラウスもこの言葉を引用し、エピグラフにしたという。(池内紀『カール・クラウス』) 

これは、捨てぜりふとはすこし違うニュアンスの言葉である。リア王の重臣であるグロスター、その息子エドガーは、父に濡れ衣を着せられ、狂人を偽って逃走する。彼が、盲目となった父に遭遇したときにもらしたのが、この言葉である。彼は、狂人を装ったまま父を救う。これは、なんというか、歯を喰いしばるための言葉なのである。劇の最後、エドガーはこんなことも言う。

この悲しい時代の積は、わたしたちが負わなければならない。思ったことを話そう。強いられて言うのではなく。

立方体の二分割など2018/05/25 22:36

明日、5/26(土)22:45-23:00に、NHK-Eテレで第12話が放映される。

明日から、折紙探偵団九州コンベンション(@佐賀大学)に参加する。三枚組みの正八面体を講習予定である。
三枚組の正八面体

◆武蔵野美術大学の案内チラシ
武蔵野美術大の案内チラシ
武蔵野美術大学のオープン・キャンパス(6/9,10)の案内が、なんとなく折り紙的だった。こうした切れ目と折り目の「動き」に注目することは珍しくないが、置く(一見アンバランスに見える状態に)という機能に注目したのははじめて見た。

なお、同大学では、先週、非常勤講師をつとめた。講義では、立体感覚の面白さ難しさを味わうモデルとして、「穴のある包み紙(type 2)」のワークショップなどをおこなった。下の図がその用紙形である。表裏同等構造によって、きれいに閉じた立方体になる。
穴のあいた包み紙 type2

◆立方体の二分割、正四面体の二分割
「穴のある包み紙」に関連して、双曲放物面(図右上)を近似する折り目を、同心正方形蛇腹以外で実現することを考えていて、面白いかたちを見つけた。
立方体の二等分、正八面体の二等分
右・中の図のような折り目をつけて、面角を変えてみる。すべての折り目は連動し、合同の二等辺三角形4面の四面体に内接するように連続的に変形する。ただし、それは、剛体構造ではない。中央の正方形がたわむのである。しかし、それは常にたわんでいるのではなく、平坦になるときもある。外接四面体が正四面体で、かつ中央の正方形が平坦になる折り目のとき、どのような折り目の角度になるか。それは、図に示した直角の1/4を基準とする折り目で近似できる(ぴったりではない)、ということが今回気がついたことである。

この目安は折りやすいので、さっそくこれを用紙の中心に埋め込んだモデルをつくってみた。全体を表裏同等モデルにしても面白いのだが、この折り目が内部に隠れてしまうので、二分割の立体にしたところ、造形的にも面白いものになった。

この折り目は、同じ折り目をさらに中央の正方形に当てはめて、入れ子構造にすることができる。するとそれは、変形で面が歪まない折り目になる。ただし、これは新発見ではない。同心正方形の折り目に対角線を加えるという「舘-ドメインモデル」と同様である。
双曲放物面近似

なお、正方形の折り目の辺は、用紙の辺と平行である必要はない。次の図(左上)はその例だ。これは、中心の正方形が平坦なとき、ねじり折りした三角形の面どうしが同一面になるように決めたものだ。
オリガミ椅子
この折り目をすこし折り変えると、きれいな椅子のかたちになる。それは剛体折りなので、ヒンジと板でできる「折り畳み椅子」になる。ただし、平坦になるほうに力が働くことがあるので、これに対するためには、脚部を鎖でつなぐといった方法を適用しなければならない。それを外すと畳めるわけである。まあでも、踏み台に使うにはやや怖い構造だ。

◆三角柱箱
三角柱箱
先日の正四面体の箱の姉妹モデルとして、正方形用紙から正三角柱の箱を考えた。チーズっぽくてよい。三角形の1辺を1とすると、高さは√3/3なので、体積はぴったり1/4である。きっちり閉じる構造にしたため、開けるのはすこし難しくなった。

正四面体の箱など2018/05/12 21:51

◆鳥海太郎展
鳥海太郎展
2018/5/21(月)- 5/16(土)
養清堂画廊(銀座5-5-16)
布施知子さんのご夫君の版画家・鳥海太郎さんの個展です。
写真の作品の題名は「見上げる」

◆正四面体の箱
TetrahedoralBox
蓋とボディが一体化した正四面体の箱ができた。閉じるときの組み合わせが面白い。1対2で近似させてもよいが、1対2.02...という長方形を用いるとぴったり合う。15cm正方形用紙の場合、「ふたつ折り」のときに1.5mmほどずらして折って切るとよい。

この折り目の構造は、正六角形用紙を用いると対称性が高くなる。その場合、閉じると四面体はツインとなる。

◆『北京折畳』と『折畳几何学』
『折る幾何学』の簡体中国語版に関して、翻訳者とすこしとやりとりをした。ついでに、「最近、『折りたたみ北京』(『北京折畳』ハオ・ジンファン)というSF小説を読みました」と書いたところ、翻訳者氏も読んでいて、「現実の北京の地名もでてきて臨場感がある」という話だった。「札幌の地下街に行ったさい、街の下にもうひとつの空の見えない街があることに、あの小説の描写を思い出した」という旨のことも書いてあった。

なお、『折る幾何学』の簡体中国語版の題名も、「折畳」を含む、『折畳几何学』である。(ただし「畳」は異字)。「原題にも『紙』がないので、こうしました」ということだった。

◆数学短歌
『数学セミナー』に投稿した数学短歌が、一首採用された。よかった。

ボツになったものでは、以下が、解説を含めて、ネタとしてある意味自信作だったのだが...
(あくまでインサイド・ジョークとしてウケを狙ったもので、選者の判断にくちばしをはさむものではありません。為念)

題:ベクトル
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬもベクトルの積
余をこめてTriの空値は図るともよにベクトルの積はゆるさじ

解説:
一首目。「これが、計算結果がもととは違う向きのベクトルになるベクトルの外積というものか。意味はよくわからないが、とりあえず計算方法はわかった」ということをよんだ古歌。作者は、数セミ丸である。

二首目。「余弦定理を用いて、Trigonometric function(三角関数)で、(余弦が)空値(ゼロ)となる向きを計算しろという問題だが、ベクトル内積を使ってはだめなのか?」ということをよんだ古歌。作者は、整数納言である。

二首とも「ベクトル」とある部分が「あふさか」であったという説があるが、それでは意味が通じない。二首目の作者は、筆名から想像できるように、数論の業績で名高く、日本のマリー=ソフィ・ジェルマンとも言われる女性の数学者である。主著における記述「烏の寝所へ行くとて三つ四つ二つなど飛び急ぐさへあはれなり」の3,4,2という数列の意味するところは、現在においても解明されていない。

筆竜胆2018/05/07 22:30

◆オープンアトリエ
5月1日から6日まで、来ていただいたみなさま、遠いところを(近所のひとも)ありがとうございました。

◆筆竜胆(フデリンドウ)
筆竜胆
山梨県北部標高1000メートルの周辺では野の花が花盛りだ。タチツボスミレ、タンポポ、マムシグサ、ヘビイチゴ、フデリンドウなど。フデリンドウ(筆竜胆)の中に、五回の回転対称性が際だっているもの(写真左上)があった。ほかの個体はこれほどきっちりした感じではなかった。花の直径は2cm弱である。名前の由来は、朝夕に花が閉じたさまが筆に似ている(写真左下)からだという。よく似たハルリンドウというものもあるが、この写真の花は、フデリンドウでたぶん間違いない。
パラメトリック・フデリンドウ