ナノ世界のウェットフォールディング2010/01/23 00:53

Soggy Origami
 同様の話は、1年ほど前に、東京大学生産技術研究所の栗林香織さんのプレゼンテーションでも聞いたことがあるけれど、『Natute』2009年12月17日号に、ペンシルベニア州立大学のV.H.Creapiさんによる、ナノスケールの自発的な折り紙の記事、題して『Soggy Origami』が載っていた。電子版はこちら(全文読むには、ログインが必要)。
 記事の内容は、数十ナノメータ(10万分の数ミリ)の、水滴と炭素膜による折り畳み現象についてで、たとえば、花弁状の炭素膜が、水滴が触媒となって、それを包むかたちに変形する現象などである。
 Soggyというのはずぶ濡れという意味で、これは、ナノ世界の「ウェットフォールディング」と言える。
(ちなみに、ウェットフォールディングというのは、近代折り紙の父・吉澤章さんが開発した、硬い紙が折りやすくなるように、そして、できあがったときに造形が固まるようにするために、紙を水にひたして折る技法のことである)

卍敷四畳半2010/01/23 20:24

卍敷四畳半パターン
 昨日は、食事会の流れで、山荘に大勢お客さんが来た。
 山荘のリビングの一角には畳が敷いてあるのだけれど、それがいいねと言ってくれたひとがいた。

 畳は四畳半で、その敷きかたは、中央を半畳にする「卍敷き」になっている。何年も計画を実行に移していないが、掘り炬燵をつくりたいと思い立ったのと、対称性が高いほうが好きなので、最初の敷きかたから自分で敷き変えたのだが、この卍敷き、中央に炉がないのにそうするのは、凶とされることがあるらしい。中央の半畳を裏返してそこで腹を切るのが、切腹の作法のためだという。掘り炬燵じゃないけれど、真ん中に炬燵があるからいいんだけれどね。

 卍敷きパターンは、周囲を別の卍敷きの畳の一部とすることで、「増殖四畳半」というような連続模様をつくることができる(図)
 このパターンは、近所の角形マンホールの滑り止めでも見たことがある(写真)。長方形が「」というようなLの字をふたつ組み合わせたものになっていることと、正方形が小さいのでわかりにくいが、よく見ると、まさにこのパターンである。

呑水の取っ手2010/01/23 22:53

 昨日、初めて知ったこと。鍋などを小分けにする、一カ所にだけちょっとだけでっぱりがある器の名前。
 あれは、呑水(とんすい)というのだそうだ。
 そして、あの形状は、レンゲや柄杓がうつわ化したことからきているらしい。しかし、じっさいの呑水で、あのでっぱりを取っ手として使うことは、まずない。それは、ヒトの尾骨や男性の乳首、虫垂のような痕跡器官と化している。

 いままで、見なれすぎていて、その造形にも名称にも関心を持ったことがなかったのは、不覚と言えば不覚だった。