『表裏同等折りの定義』再考 ― 2008/11/03 21:34
(1)ヘキサキューブの図:線の種別に誤りがあった。(上の図の赤い部分:上の図は修正済み)
(2)表中の人名でバルとあるのはハルが正しい。
自分の校正が甘いのに呆れた。ミスは恥ずかしいが、じつは、問題はそれではない。
自分の論文をひさしぶりに読んだのはほかでもない。この論文で提案した定義自体に疑問が生じたからである。
きっかけは、昨日の「ツイステッドコーン」 である。これは、直感的には、表裏同等と言ってよいモデルである。しかし、この論文の定義には反するのだ。
表裏同等というのは、川崎敏和さんの作例によって生まれた概念で、ざっと言えば「紙の表も裏も区別をつけられない折り紙モデル」のことである。たとえば、折り鶴は紙の外に出ているのは表で、紙の裏は完全に隠れる。(逆でもよいが同じことだ) しかし、折り鶴などと違って、表も裏も同じように現れるモデルがある。そうしたモデルの数学的特徴を見いだして、まとめたものが以下である。
表裏同等モデルとは、n回の回反対称 (n-fold rotational inverse symmetry) のモデルのことである。ただし、その場合の回転軸は展開された平面に対して垂直である。
(なお、「回反対称」(rotational inverse symmetry)というのは、「反転し、回転させると同じ図形になる」ということである。)
しかし、「ツイステッドコーン」はこれに該当しない。もっと単純な例を考えることもできる。例えば、図にあげたものだ。これも表裏同等折りに含めたほうがよいのではないか。これは、正方形の対角線を回転軸とした回転対称で、回反対称ではない。
ツイステッドコーン ― 2008/11/02 22:51
まず、その曲面の説明のために、写真上の曲面を説明しよう。これは、円に直径の折り目をつけ、その折り目を円の中心で折り返し、円錐をふたつ繋げたかたちにしたものである。
そして写真下である。これは、円に半径の切り込みをいれ、その分離したところを2回ひねって再接続した立体である。(追記:「2回ひねる」と書いたが、これは、後出のメビウスの輪のひねりを「1回」としてのことである。じっさいは「1回転ひねって」としたほうがわかりやすい)「再接続」するためには、面と面が交差することになるが、紙工作的には、接するところにちょっと糊をつけるというかたちできれいにまとまる。
ぐるりとひねったので、メビウスの輪と違って、面には裏と表の区別があることになる。よって、「メビウスの円錐」と呼びたいところをやめて、「ツイステッドコーン」とした。(追記:上記の追記と同じ理由で、最初つけていた名前から「ダブル」を取った)
この立体を「容器」として見ると、裏と表のどちらもが「内」にもなり「外」にもなっているのが面白い。
円からの立体は、「フォーチュンクッキーの幾何学」において、かなり考えたつもりだったのだが、あれは閉じたかたちにこだわっていた。そうでないものも視野にいれると、まだまだ「きれいなかたち」がありそうだ。
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