府中市で折り紙教室など2017/04/16 09:16

◆府中市で折り紙教室
4/23(日)13:00-15:00、府中郷土の森ふるさと体験館で、折り紙教室を担当します。府中郷土の森博物館は入場料が必要ですが、教室自体は無料です。

◆春まだ浅き
4/14NRO
(4/14の写真)
み山には松の雪だにきえなくに宮こはのべのわかなつみけり
(深山には松の雪だに消えなくに都は野辺の若菜摘みけり)
『古今和歌集』よみびと知らず

◆『数学セミナー』
『数学セミナー』5月号に、三谷純さんが、拙著『折る幾何学』の書評を寄せている。「近代折り紙の、新しく自由な世界が本書の中に凝縮されている」などと書いてあって、恐縮した。

『数学セミナー』5月号では、数学オリンピック金メダリストの中島さち子さんが、数学オリンピックを舞台にした青春映画『僕と世界の方程式』について、円城塔さんが『僧正殺人事件』などについて書いていた。今期からの『数セミ』は、こういう数学周辺情報を積極的に載せるようになっている。

『僕と世界の方程式』は、わたしも観た。主人公のネイサンより、脇役ルークの「僕には数学しかないのに」と思いつめた姿が胸につまされた。人間ドラマ中心で、数学の魅力や数学をからめたジョークなどはそんなに描かれていないけれど、以下の会話などはにやにやした。(うろ覚えで書いている)

マーティン(教師)「14の特徴は?」
ネイサン(少年)「自然数。ポジティブ・インテジャー(正の整数)」
マーティン「そう、ポジティブに、自然にってことさ」

ほぼどんな数字でも使えるけれどね。

いっぽう、『僧正殺人事件』である。少年の頃に読んで最も面白かったミステリは、ヴァン・ダインの『グリーン家殺人事件』と『僧正殺人事件』だった。評判の高い◯◯◯◯・◯◯◯◯の『◯の◯◯』を、『グリーン家殺人事件』の直後に読んで、「なんだ。グリーン家のまねじゃん」と思ったことを鮮明に覚えている。その後、大学2年のとき、「(化学科、物理科の)新入生にひとこと」といった企画で、次のように書いた記憶もある。
「入学おめでとう。君もこれで、青酸カリウムや放射性物質で遊べるぞ。僧正」
科学者が主要人物として登場する『僧正殺人事件』をネタに、ブラック・ジョークを気取ったもので、わかるひとにはわかるだろうという、お年頃らしい「ひけらかし」である。しかし、数十人の新入生の中に、ミステリ好きがいた可能性はきわめて低いので、ひとり相撲である。ちなみに、大学での危険物の管理は厳格であり、明確にジョークとして通用していた。念のため。それにしても、わたしはなんで大学で、ミステリ研(的なもの)にもSF研にもはいらなかったのだろう。心情が思い出せない。

『僧正殺人事件』をネタにということでは、10年ぐらい前に、山田正紀さんの『僧正の積み木唄』というミステリがあった。面白い趣向で、一気に読んだが、いくら疑似科学と断っても本職の物理学者があの数式はないだろう、あのミスディレクションは『僧正』の肝なのに...などとも思った。ただ、本作は『僧正殺人事件』へのオマージュというより、金田一探偵オマージュで、金田一ものを改めて読んでみたくなり、何冊か読んだ記憶もある。読者にそう思わせるのは、作者にとって「金田一もの」がただのネタではないということだ。

円城さんがほかに紹介していた、ジョルジュ・ペレックと、ジャック・ルーボーは読んでいない。面白そうなので、昨日、ジャック・ルーボーの邦訳を3冊買ってきた。
読みたい本がたまって困る。

◆「その官僚は、はじめから終わりまで一言も何も言っていないのと同じであった」
前にも書いたけれど、国会の「官僚的」な答弁を聞くと、太宰治の『家庭の幸福』を思い出す。この小説は、ちょっとした『教育勅語』のパロディー的な文章もあって、妙に同時代的である。70年も前の小説なのに。

◆4価のゴールドバーグ多面体
ニュースを見落としていたけれど、昨年の『Nature』12月22日号に載った論文で、フラーレンとは違うタイプの多面体構造の分子の発見が報じられていた。プレス発表はここにある。この多面体は、四角形と三角形から構成され、頂点に集まる辺の数が4である。なお、それらの多くは、四角形が平面図形ではなく、「ねじれ四角形」になる。

『折る幾何学』型紙選集2016/12/04 20:30

『折る幾何学』の変則型紙モデルのうち5点が、「型紙選集」として、販売されています。(価格:税込1080円)(こちらを参照

最適の素材と精度の高い加工技術によるもので、独立したパズルとして楽しめて、できあがったものは、オシャレな(!)オブジェとなります。

これはとてもよい。(作者なので、当然ひいき目はある)

『折る幾何学』91ページの図2016/12/04 20:29

『折る幾何学』91ページの図
『折る幾何学』91ページの図に誤りがありました。 工程番号13からできあがりまでが、12までの図と鏡像反転しています。

高野文子さんの色紙と『もののかたち』2016/10/27 21:09

『折る幾何学』の表紙や扉の絵を描いていただいた高野文子さんによる色紙である。透明樹脂でつくった「ねじれ立方体」(『折る幾何学』収録)の中に悪魔を封じ込めたものを贈ったお返しだ。海老で鯛を釣った。
高野文子さんの色紙

悪魔inねじれ立方体

ほんとうにうまいなあという絵で、たとえば、「折り紙人形」の空洞部分の輪郭にも躍動感がある。「表紙の少年の顔は前川さんにちょっとだけ似せました」というのが高野さんの言だったが、この色紙の人物は、「お腹がちょっとでているところがあなたに似ている」というのが妻の感想である。

擬人化された正八面体が描かれているのは、『折る幾何学』内の、「正八面体が好きだ」「正八面体は健気だ」という、誰に通じるのかわからない話(一応、理論化してあるけれど)に基づいている。

この八面体くん、書中の扉絵にも登場しているが、正八面体好きとしてうれしい以上に、一種のなつかしさを感じて、なんだったかなあ、とひっかかっていた。それに関して、昨日、あっ!と、思い出した。

レイ・ブラッドベリの『もののかたち』(The Shape of Things 1948)という小説の印象と重なっていたのだ。

『もののかたち』は、分娩機なる機械の不具合により「次元」の混乱がおき、我々の世界では青いピラミッドとして生まれた赤ちゃんと夫婦を描いた話である。『クレージー・ユーモア 海外SF傑作選』(福島正実編  1976)というアンソロジーに収録されていて(斎藤伯好訳)、高校生のころに読んだ。

あらためて読むと、「クレージー・ユーモア」というよりは、もっと批評性のある小説だった。『明日の子供』(Tomorrow's Child)という別タイトルもあるようで、昨年出た『歌おう、感電するほどの喜びを![新版]』にも収録されていた。

正八面体は、単視点ではピラミッド(四角錐)としてしか認識できない。そして、『もののかたち』のなかで、青いピラミッドの子供は「ピイ」と呼ばれている。ということで、最近できた6枚組みの正八面体モデルも、通称ピイちゃんとなった。
ピイちゃん

『折る幾何学』誤植22016/09/15 23:46

092ページ
× ふたつの正四面体の対応しています.
○ ふたつの正四面体に対応しています.

『折る幾何学』:些細だけれど誤植発見2016/09/06 20:29

『折る幾何学』の出版直前なのだが、「まえがき」に誤植を見つけた。こういうものは、なぜ事後に気がつくのだろう。

9ページ
×エピグラム
○エピグラフ

エピグラフ:(1)巻頭や章のはじめに記す題句・引用句。題辞。(2)碑文。銘文。
エピグラム:警句。寸鉄詩。
(『広辞苑』)

『折る幾何学』のエピグラフには、たとえば、以下の一文がある。

器械的に対称(シインメトリー)の法則にばかり叶つてゐるからつてそれで美しいといふわけにはいかないんです。(宮澤賢治,『土神と狐』)

なるほどねえという内容で、賢治の童話の中の言葉であることの意外性もあって選んだ。しかし、じつはこれは、薄っぺらな気取り屋の狐、『坊っちゃん』の赤シャツ的なキャラクターである狐が、教養があるかのように見せる、受けうりの言葉なのである。わたしにとってこの引用は、この文自体の意味だけでなく、(伝わらないだろうけれど、)衒学とそれに対する自嘲といった意味もある。

引用というのは、自己言及的な引用をすれば、まさに「他人の頭で考えること」(ショーペンハウエル『読書について』)である。しかし、言葉なるもの自体がそもそも借りものである。

すこし前に読んだ山田太一さんのエッセイ『月日の残像 』に、氏が若い頃、自分の感情を書きとめるために、日記ではなく、読んだ本の抜き書きをしていた、という話があった。

  僕は貴女の友情を望みません。(D.H.ロレンスの手紙)

 などというのもある。
 どの引用もたいしたことはいっていないが、しつこく他人の言葉であることにすがっている。事実や気持をそのまま書くには、あまりに平凡陳腐な失恋で、むき出しに耐えられなかったのだと思う。

こうした引用は、衒学とは違う。衒学というのは、鏡に向かったひとりの状態でも成立する。しかし、これは、学術論文での引用と似て、文化的な網目の中に自分の書いたことや気持ちを位置付けようとする願いなのだと思う。

装幀の凝った本など2016/09/05 21:24

◆『折る幾何学』のチラシ
日本評論社チラシ
9月12日頃刊行の『折る幾何学』の、出版社がつくったチラシの裏面が、『スーパー望遠鏡「アルマ」が見た宇宙』(福井康雄編)だった。版元の日本評論社が、天文の本も数学的な折り紙の本も扱っていて、たまたま刊行日が近かったためだ。

日々のあれこれの中で、折り紙と天文が交錯する機会はほとんどない。今回は、上の偶然が面白かったので、このチラシを、三鷹のALMA研究棟の会議机におき、野辺山宇宙電波観測所の特別公開のさいに配らさせてもらった。

◆装幀の凝った本
最近、装幀が凝った本を続けて読んだ。

ひとつは、綾辻行人さんからいただいた『深泥丘奇談・続々』だ。このシリーズの装幀は凝りに凝っている。本文中や見返し、扉にもイラストがあり、カバーを外すと、タイトルはエンボスである。

そして、穂村弘さんの新刊『鳥肌が』も、『深泥丘』と同様、祖父江慎さん(『鳥肌が』は、+藤井遥さん)の装幀なのだが、栞ひもが、細い三本の糸になっていたり、カバーに鳥肌状のブツブツがついていたりするなど、これまた変なつくりの本なのであった。

両書とも、日常の違和感と怖さを扱ったものなので、内容の感触もどこか似ている。ただし、前者は幻想小説で、後者は一応実話だ。一応と書いたけれど、『怒りのツボ』というエッセイには、次の言葉もあった。

「ここを押されると、かっとするポイントってどこだ。(略)あ、『この文章ってどこまで本当なんですか』と云われるのが嫌だな。」

『深泥丘』は猫好きのための本でもある。

『折る幾何学 約60のちょっと変わった折り紙』2016/09/03 12:00

『折る幾何学 約60のちょっと変わった折り紙』
『折る幾何学』
日本評論社から、2000円+税で、2016年9月12日頃発売です。

◆表紙と扉のイラストは、マンガ家の高野文子さんによるものです。
◆変則用紙のモデルも多数です。折り紙本としてはやや変化球ですが、キレはあります。
◆パズル好きにも、というよりパズル好きにこそ、おすすめします。
◆もちろん、折り紙が好きなひとにも。
◆エッシャーやデューラーの版画など、数学的美術が好きなひとにも。
◆数々のモデルは、現代の算額(和算において、問題と解答を奉納した絵馬で、美しい図形問題が多い)のような感覚でつくりました。
◆月刊の数学雑誌『数学セミナー』の連載記事(連載は2016年9月現在継続中)に加筆修正をしたものを中心に、書き下ろし等を加えて一冊にまとめたものです。


『折る幾何学』口絵他