LH2O2012/02/11 15:56

LH2Oと十八面体
ポルトガルのデザイナーユニット・Pedritaによる「LH2O」という水のボトルが面白い。(写真もこのサイトから) Água de Lusoというメーカーと協力しての「実験」と書いてあるので、商品にはなっていないようだ。

空間を完全に埋め尽くせる菱形十二面体を基本にして、6個ある四価頂点を切り落とすと、六角形(正ではない)12面と正方形6面からなる立体になる。これを積むと、立方体のすきまができる。ここにキャップ部分がはいって、無駄なく空間を充填できるようになる、という理屈だ。

この立体の正方形部分を穴にしたモデルを、折り紙(√2長方形の12枚組)でもつくってみた。四価頂点の切り落としかたは任意だが、ボトルでも使っていると思われる目安のわかりやすい比率にした。

赤い正方形星雲2012/02/11 15:48

Red Square Nebula
かたちが正方形に見える星雲があるということを、最近知った。2007年に観測されたもので、通称Red Square Nebula(赤い正方形星雲)という。詳しいことはわかっていないそうだが、中心部から二方向に対称的な円錐状のガスの放出があり、円錐の母線のなす角度がたまたま直角に近く、それを真横から見ることでこのかたちになる、ということらしい。じっさいはやや長方形であるが、みごとだ。

どこにあるのかを確認してみると、かなりわかりやすい位置にあった。肉眼や小口径の望遠鏡ではまったく見えないけれど、折り紙(不切正方形一枚折り)の上達を星に願うときは、その方角に向かうのはどうだろう、なんてことを思った。まあ、「折り紙(不切正方形一枚折り)の上達を星に願うとき」という設定自体がわけがわからないけれど。

わかりやすい位置というのは、天空の座標である赤経が約18時(赤経18時21分15.9秒、赤緯マイナス13度1分27秒 へび座(尾部)領域内)にあることからくる。これにより、夏至の真夜中頃、冬至の正午頃、春分の日の出頃(6時頃)、秋分の日没頃(18時頃)に、南中する(真南にくる)のである。なお、南中時の高度(仰角)は、東京で40度ぐらいだ。南九州だと、だいたい45度と、折り紙好きのする角度になる。これも、だからどうしたってなもんだが。

写真:パロマー天文台ヘール望遠鏡およびケックII望遠鏡による赤外画像 (Wikipedia:Red Square Nebulaから)

日々の言葉2012/02/07 00:10

「『おめでとうございました』って言うひとが多いけれど、『おめでとう』に過去形は変よね」
「まあね。えーと、『ありがとうございました』はOKだね」

感謝は過去と現在に、祝福は現在と未来に与えられるもの、ということかな…。

「おはようございました」
「あはは」

日々の挨拶言葉というのは、考えるとわからなくなるものがある。
昼は「今日は」で、夜が「今晩は」なら、朝は「今朝は」であってこそ対称性が生まれるのに、どうしてそうならないのか、とか。だいたい省略しすぎだよなあ。

「今日は」
「今日がどうしたの? いいの? 悪いの?」

「さようなら」は「美しいあきらめの表現」だ。と、アン・リンドバーグが記している。と、須賀敦子さんのエッセイで読んだ。

そうでなければならないのなら…。言葉にならない言葉。そう考えるとたしかに美しいけれど、意地悪く考えれば、これも、省略、言い澱み、ほのめかしととれなくもない。同じ系統の別れの言葉には、「んじゃ」や「そんなわけで」がある。

「そんなわけで」
「どんなわけ?」

『本格折り紙√2』誤植42012/02/07 00:07

28ページ ヴィエトの式に関して。

無限という概念を組み込んだ史上初めての式とも言われます。

無限積という概念を組み込んだ史上初めての式とも言われます。

東京文化会館小ホールの蛇腹2012/02/02 21:59

東京文化会館小ホール
上野の東京文化会館(前川國男設計…親戚じゃないよ)の小ホールに巨大な蛇腹があることを、切手のデザインで知った。このホール、いままで訪れたことがなかった。

なぜ蛇腹なのかを考えた。音の反射を図化(テキトーだけれど)してみると、図の蛇腹の赤い部分だけが反響に使われているようであった。青い部分は使われていないのである。つまり、このかたち自体に音響効果の意味はあまりないらしいのである。なぜ蛇腹なのかというと、要するに、大きな反響板を力学的に支えるため(と、収納のため:2/3追記)だろう。

音楽ホールと蛇腹といえば、前川國男氏の師匠筋にあたるアントニン・レーモンド氏設計の群馬音楽センターが、蛇腹のかたまりのような建築で、折り紙者の琴線を強く鳴らす。

折り紙につながった(?)結晶の話をふたつ2012/02/01 22:06

御幣状結晶(『雪の結晶図鑑』)と御幣
◇その1
黄鉄鉱は、立方体、正八面体、五角十二面体等の結晶で知られる。ただし、五角十二面体といっても、面が正五角形の正十二面体ではない。黄鉄鉱は立方晶系で、立方体に屋根をつけたような対称性により十二面体になりうるのだが、面角一定の法則で「屋根」の傾きが決まっていて、正五角形にはなりえないのである。しかし、黄鉄鉱で検索すると、鉱物販売サイトに完全な正十二面体のものがあった。これは、間違いなく削り出している。そういうことしちゃだめだなあ。

黄鉄鉱の十二面体に関しては、Pyritohedron(黄鉄鉱体)という言葉もあるようだ。
関連して、Wolfram MathWorldのPyritohedronDodecahedronを見ると、Dodecahedronのページに「an origami dodecahedron constructed using six dodecahedron units, each consisting of a single sheet of paper (Kasahara and Takahama 1987, pp. 86-87)」という折り紙モデルの写真が載っていた。笠原さんと高濱さんの編著『Origami for the Connoisseur』(『トップおりがみ』(絶版)の英訳版)に載ったわたしの作品だが、「six dodecahedron units」という説明は変である。

◇その2
先日、図書館で、『雪の結晶図鑑』(菊地勝弘、梶川正弘著)という本を借りた。写真集のようにも味わえる本で、中谷宇吉郎没後50年記念出版でもある。

この本で初めて知った雪の結晶に、1968年の南極越冬観測のさい(著者の菊地勝弘さんが当事者)に発見された「御幣状結晶」なるものがあった(写真左)。じっさい、御幣(写真右:愛知県東栄町月地区・花祭のカマドの幣束)によく似ている。偏光顕微鏡写真による「色合い」と、カクカクした連続構造から、ビスマスの結晶も彷彿とさせる。御幣状結晶という名は、英語でもGohei Twin(Twinは双晶-平面を対称面とした結合した結晶-のこと)だそうで、茶目っ気を感じる。

鉱物や結晶の近辺には、パワーストーンがどうした、水からのナントカなど、怪しげなひとたちもいるので、御幣状結晶も、「これは神慮だ!」なんて言われてしまうかも。

『本格折り紙√2』誤植32012/02/01 22:02

19ページ 左図キャプション

1850年 グスタフ・フェヒナーの調査による
どのような長方形が好ましいかのアンケート結果


1860年代 グスタフ・フェヒナーの調査による
どのような長方形が好ましいかのアンケート結果


補足:フェヒナーの調査に関しては、『本格折り紙√2』に「出来過ぎなくらい黄金比にピーク」と書いたが、調査方法などにバイアスがあるとの疑問は、心理学や美学の研究者にも強く、「捨て去るべき」や「そこそこ証拠はある」など、さまざまな評価があるという。(参考:『黄金比はすべてを美しくするか?』( マリオ ・リヴィオ著 斉藤隆央訳)

ダイヤモンド富士2012/01/30 23:53

富士に沈む夕日
前にも書いたように、東京多摩地区にある自宅から、富士山が見える。

富士山の東北東に位置するので、山頂にちょうど日が沈む、いわゆる「ダイヤモンド富士」も、年二回11月と1月に見ることができるはずなのだが、毎年見逃してきた。

これを見るためには、(1)東京の自宅に居合わせる。(2)忘れない。(3)晴れる。という三つの条件がある。「自宅に居合わせる」というのは、変な言い方だが、留守にすることが多く、日没時刻が17時頃と早いのも待機を難しくしているのである。
また、案外大きいのは、「忘れない」だ。いままで、だいたいこの季節と思っていただけで、きちんと確認していなかったので、気がつくと日が過ぎていたのである。そこで今回は、ほぼこの日になるという日を概算した。すると、その日は自宅にいられることがわかった。そして、その日は天気がよかった。
というわけで、おおいに期待したのだが、残念ながら、日没の時刻がくると、わずかに日が過ぎていることがわかった。概算に使った方位角がすこし違っていたのである。

それでも、山際をすべるようにして沈む夕日は美しかった。この秀峰が噴火して山容が崩壊してしまったたら悲しいなあ、なんてことも思った。いっぽうで、どうせいつか噴火するのなら、生きているうちに見てみたいと、不謹慎にも思ってもいるのだった。

結晶の写真2012/01/22 22:48

水晶をもらってから、結晶がミニブームになりつつある。ということで、結晶の写真をいくつかお見せしよう。

睡沌氣候と蛍石
まずは、蛍石。たしか、20年ぐらい前、新宿紀伊國屋書店の鉱物化石売場で買ったものである。ほとんど完璧な正八面体が美しい。「それっぽい」写真にしようと、天文古玩さんというブログで知った、鉱物趣味的、宮沢賢治的、稲垣足穂的な、コマツシンヤさんのマンガ・『睡沌氣候』(すいとんきこう)の表紙の上に置いて撮ってみた。

食塩
つぎは、塩化ナトリウム。小学生のころの実験を思い出して、結晶をつくってみた。食塩は、そのままでも、よく見ると小さな立方体だが、もっと大きい結晶が見たくなったのである。

飽和食塩水をつくって、針金をいれると、翌日には結晶ができはじめた。
あまりきれいではないが、四角柱状に伸びているものもあって、面白い。
NaCl(柱状)


NaCl(立方体)
溶液の表面には、1.5mmほどの立方体も浮いていた。

そして、昨日の雪。これも結晶写真を撮ろうとしたのだが、失敗した。黒い紙を冷凍庫で冷やし、その上に降ったものを撮る計画だったのだが、黒い紙はうまく冷えないのか、すぐに暖まるのか、雪はその上ですぐに溶けてしまった。

水晶の錐面2012/01/18 23:09

水晶
イタリアで、フランス折り紙協会(MFPP)のViviane Bertyさん、Alain Georgeotさんらから、水晶をプレゼントされた。前川は幾何的な造形が好きだから、ということらしい。思えば、水晶(石英の自形結晶)を、まじまじと見るのは初めてだ。磨いたところもあるみたいだが、ほぼ自然のままのようだ。

角錐状の部分は、おおざっぱに言って四角錐になっているように見えた。つまり、六角柱の鉛筆を削って四角錐にしたようなかたち(図左)である。

しかし、三方晶系のα石英の界面は、錐面の部分も三回回転対称の格子にしたがうはずである。いろいろと考えて、これは、図中央のような典型的な水晶の三回回転対称構造の三つの三角形の面のうち、ひとつが大きくふたつが小さい(図右)ために、図左のようにも見えるのであろう、と納得した。結晶の六角柱部分が正六角形になっていないこともあって、かたちの見立てが狂ったのだ。