ガードパイプの研究と記号化された梅の花に関する考察2008/12/03 20:30

ガードパイプ
 下に書いたイチョウの記事で思い出したことがある。都道のガードパイプ(パイプによるガードレール)が、イチョウの図案になっていることだ。写真左上はそのバリエーションで、カタツムリのマークがはめ込まれたものである。
 物好きとしか言いようがないが、好事家・M氏は、ガードパイプのコレクションをしていたこともある。その中から数点を紹介しよう。
 都道はイチョウだが、国道は目玉(?)である。ちなみに、この目玉タイプには、切れ長やどんぐり眼などがある。そして、東京都北区には北の字があり、山梨に行けば、富士や逆さ富士、長野市ではリンゴを見ることができる。リンゴは、青森県にも別種のものがあったのだが、その写真を撮り損ねて、M氏はたいへんくやしい思いをしている。
 東京都府中市には、樹木・鳥・梅の3点セットがある。市のシンボルの欅と雲雀と梅をかたどったものだが、中でも興味深いのは梅(右下)だ。

 梅の花はこのようなかたちで図案化されることが多いが、思えばこれは奇妙なものである。これは、本来、五弁の花を斜めから見た図である。じっさい、江戸初期の、たとえば尾形光琳の絵や図案などを見ると、手前の花弁は楕円などに描かれて、写実性を残している。しかし、いつのころからか、これが小さい円で描かれるものが出るようになる。どう見ても手前の花弁が小さく見える図で、投影法や遠近法から大きく逸脱した描法である。しかし、花札の図案などはまさにこの図が使われ、梅の花の記号として定着していくのだ。この記号性を知らないと、このガードパイプは、幼児の描いた車か、鼻孔を強調した鼻のようにも見えるであろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策:このブログの作者は?(漢字。姓名の間に空白なし)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://origami.asablo.jp/blog/2008/12/03/3990509/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。