カタバミの葉はなぜ閉じる2010/02/08 20:33

アカカタバミ
 東京の自宅のオリヅルランの鉢に、いつのまにかアカカタバミが生えてきて、「家主」を圧倒する勢いで繁茂している。集合住宅の上層階なので、ひとに付着して運ばれたとしか考えられないが、よくもこんなところに生き延びる場所を見つけたものだと感心する。環境問題として砂漠化が取り上げられることが多いが、放っておくと草木生い茂る温暖湿潤の地と言える日本列島に住んでいると、地球の支配者は植物であるという印象も持ってしまう。昔読んだ、植物に支配された未来の地球の話、ブライアン・W・オールディスのSF・『地球の長い午後』の影響かもしれない。
 ちなみに、オリヅルランは、言うまでもなく、その名前ゆえに育てているもので、写真ではわかりにくいけれど、鉢には折鶴の飾りもついている。

 で、まず、この、我が折鶴蘭子さんの鉢を浸食している植物の名前が、ぱっと思い出せなかったのである。ものやひとの名前が思い出せないことが多くなった、という思いを押さえつつ、「クローバーとよく間違えるハート型の葉」などと、検索した。
 カタバミであった。家紋としてもよく使われるモチーフなのに、忘れていたのは、家紋好きとしても情けない。漢字で書けば、酢漿草、または、片喰である。前者は蓚酸を含み、酸味があるためとのことである。
 細かい分類では、アカカタバミであることも判明した。「アカカタバミ、アオカタバミ、キカタバミ」などとつぶやく。

 ネット上の説明にもあったように、カタバミは、じつにたくましい生命力を持った植物である。黄色い五弁の小さい花も咲き、実も結んでいたが、実ができていたことは次のように知った。
 鉢のそばにあるデスクで作業をしていると、かさりと音がすることがあったのだ。虫でもいるのかと思っていたら、実がはじけて、種子を飛ばす音なのであった。粘着性のある1mm足らずの種子が、1mぐらい離れた壁にも付着しているのには驚いた。最盛期は、周辺が種だらけになっていた。種子は、オクラを垂直に立てたようなさやに格納されている。それがはじけるメカニズムも気になる。

 そして、つい先日、日が暮れると葉が閉じていることに気がついた(写真下)。
 葉のかたちはハート型だし、閉じたかたちは三角錐で、前の前の記事などで、ここ数日考えていたかたちに関係しているのであった。日々のあれこれを三題噺のように結びつけてしまうのは、悪い癖かもしれないが、どうにもそんな日常である。
 なお、片喰という名の由来も、夜になると葉が閉じて、葉が欠落したように見えるためとする説があるようだ。葉を開いたり閉じたり、勢いよく種を飛ばしたり、活動的なヤツである。
 なぜ夜に葉を閉じるのかということでは、閉じた状態でも表面積は変わっていないが、三角錐状になることで、空気を抱え込み、葉裏の外気への接触を回避し、熱や水分の放散を防いだり調節する効果があるのだろう、と考えた。こうした植物の「就眠運動」に関しては、あのチャールズ・ダーウィンが研究をしていたそうで、彼もその旨を述べているとのことだ。現代の研究もそれを補強しているらしい。

 以上が、昨晩まで考えていたことである。そして、たったいま、ほんとうにただの思いつきだが、葉が閉じることの別の説が浮かんだ。今日、仕事の打ち合わせで、降雪時の電波望遠鏡のスタンバイポジションが話題になったのだが、そのことが、例によって、わたしの「三題噺的脳」において、カタバミと結びついたのだ。葉が角錐状になるのことには、スタンバイボジションという意味「も」ないのだろうかと。
 カタバミの葉は、光に垂直となるような向日性運動がある。三枚の葉が三角錐状になって閉じているかたちは、光の方向を判定する待機態勢として最適なのではないか。三枚の葉が違う方向に向いているのことで、光があたったときに、どちらから光がきたかすぐに判定できるぞ、と。

「♥&♣ @ ☆」の話2010/02/09 21:33

観測制御室のハート
 長崎のグラバー邸の敷石に、通称・ハートストーンなるものがあり、それを見つけると願いが叶うという、ガーリッシュな話がある。ガーリッシュというのは、ボーイッシュの対語で、フェミニズム的には問題のある表現かもしれないが、「女の子的」ということだ。
 じつは、これに似たものが、観測所の制御室にもある。フロアの傷だ。お星さまを見守っている天文台のハートであります。これにより…、観測者の椅子がガタつくという現象が日々発生している。

 なんてことを書いていて、グラバー邸のGloverにloverが含まれているということに気がついた。一昨年長崎に行ったときにグラバー邸を訪れたが、このLoverというネタは、観光宣伝には使われていなかったようだ。使えそうなのに。そして、cloverもGloverと一字違いでloverを含むということにも、気がついた。クローバーの葉のかたちは、カタバミほど典型的なハート型ではないが、ハートらしいものもある。また、言うまでもなく、クローバーというのは、四葉のクローバーとして、象徴性の高い図像となる。それがラッキーアイテムとして広まった理由の一端には、loverを隠し持っていることも関係しているのかもしれない。C lover = She (is a) lover. てなわけで。

 以上、なんというか、非常に似合わない話をしているような気がしてきたので、ちょっと違う話も。
 象徴図形としてのクローバーは、クローバー型インターチェンジとか、クローバーリーフ・クエーサーなどとして、四回回転対称図形として使われることが多い。後者は、うしかい座にある110億光年彼方のクエーサー(銀河の核と考えられている天体)が、手前にある銀河の重力レンズ効果で四つに分かれたように観測されたものである。

Macintoshのコマンドキー2010/02/10 22:18

Macintoshのコマンドキー
 昨日話題にした四葉のクローバーで連想するのは、Macintoshのコマンドキー(写真右上)である。このマークの由来に関して、コンピュータマニアを「プロペラヘッド」と称し、これはそれにちなんだものであると、Macintoshの雑誌で読んだことがある。前段はたしかにそうらしいが、後段はガセらしい。

 folklore.orgというサイトに、初代Macintosh開発時、「なにもかもリンゴマークじゃだめだというSteve Jobsの意見のもと、デザイナーのSusan Kareが、スウェーデンのキャンプ場で、名所やアトラクションの案内に使われる、花のようなシンボルを採用した」という内容の記述があり、これがほぼ真相のようだ。
 ただし、このマークは、キャンプ場に限られるものではなく、広く北欧で、名所旧跡等を示す道路標識として使われているとのことである。そして、そもそもは、1000年以上前から彼の地で使われていた図像で、聖ヨハネの腕、聖ハンス十字などというのだそうだ。

 なお、Wikipediaで、この記号を示す、x=3cosθ+2cos3θ, y=3sinθ-2sin3θという数式を見たが、この式では、図左下のように、記号とは若干異なるかたちになる。コマンドキー記号は、真ん中がほぼ正方形で、四隅はほぼ円だが、この式は、ギアにペンをいれて模様を描く玩具の名にもなっている曲線・ハイポトロコイドの一種である。

 さらに、このかたちを針金でつくるとパズルになるかもしれないと、手元に針金があったので、ちょっと試してみた。しかし、精度の問題もあるのか、感触はいまひとつだった(写真右下:3個組)、6個で立方体も組めたが、どうもしっくり来ない。アイデア倒れっぽい。

アップルのマーク2010/02/11 14:17

アップルのマーク
 Macintoshの旧い機種のコマンドキーには、クローバーマークのほかに、リンゴマークもついている。(写真は、PowerBook520) リンゴマークが欠けているのは、噛む(bite)をコンピュータの情報単位であるbyteに掛けたという話があるが、これも風説っぽい。

 この欠けているリンゴで、ちょっとした三コママンガができた。

 ほんものの太陽は、周期通り(約11年)であれば、昨年ぐらいから活発化するはずなのに停滞期が続いていたそうだが、やっと活発化してきたとのことである。観測所の食堂で同席した太陽電波観測所のSさんも「太陽、復活しているみたいですね」という問いかけに「活発になってきました」と、どこかうれしそうだった。

 ちなみに、コマンドキーとの組み合わせで最も使用頻度の高い、C:コピー、V:ペースト、X:切り取りに関して、CはコピーのCで、Vは校正の挿入記号、Xは鋏からくる、という話も、以前雑誌で読んだ。キーボードの下段にXCVと並んでいるのはたまたまなので、こじつけくさいが、Xが鋏というのは、好きな話だ。(XCVに関して、同じ話を、昔-もう8年も前だ- 折紙探偵団旧掲示板にも書いたことも思い出した。この書き込みのネタはけっこう面白いじゃないか、と自賛)

針金細工・「正十二辺体」2010/02/11 22:08

針金細工・正十二辺体 他
 昨日の針金細工はいまひとつ不本意だったが、初めてと言ってよい針金細工をしてみて、頂点に集まる稜(辺)の数が偶数の多面体は、針金による一筆書きで造形可能であることに気がついた。
 多分、すでにやっているひとがたくさんいると思うが、正八面体がなかなかきれいにできた。「面」がないので、「正十二辺体」と言うべきかもしれない。もっときちんとつくれば、工芸品としても、美しいものができそうだ。
 さらに、立方八面体(□6、△8)もつくってみようと思ったのだが、手元にある針金が尽きた。しかたがないので、とりあえず、図だけ描いてみた。

雨氷2010/02/12 12:44

雨氷
 昨晩から今朝にかけて、八ヶ岳南麓標高1000m付近は、地上気温は氷点下なのに、雨が降るという状態で、雨滴がものに触れたときに凍りつく、雨氷が発生していた。上空と地上の温度が逆転して、雨滴が過冷却(氷点下だが液体)になるときに起きる現象だ。車のウィンドウ全面が薄い氷の膜によるくもりガラス状になっていたのは、かなり珍しいというか、これだけ見事なのは初めて見た。路面も、これと似た状態になっていたのだろう、危険だった。