折り紙の数学に興味をもつひとは必携の本 ― 2009/11/07 22:50

上原さんのあとがきにいわく、
本書はかなり幅広い内容の本である. 高校生でもわかるようなやさしいこともあれば, 現時点で理解できるひとはほとんどいないのではなかろうかと思うこともある.「現時点で理解できるひとはほとんどいないのでは」ってのはすごいが、折り紙の数学に興味をもつひとは必携の本である。
索引で自分の名前などの関連項目をまずチェックしてしまうのは、まあ人情だが、本書の索引は、ちょっと変わっていて面白かった。人名索引、(事項)索引、用語和英一覧のほかに、50項目余りの「未解決問題索引」なるものがあるのだ。問題の意味はけっこう簡単に理解できるのに証明されていない問題もあり、なんだかわくわくする。
なお、著者のひとり・エリック・ドメインさんは、MITの教員の最年少記録(20才)を持つ天才。
また、この本のサポートページは、ここ。
『迷路館の殺人』の解説を書いた ― 2009/11/07 22:55

午前中に『幾何的な折りアルゴリズム -リンケージ・折り紙・多面体-』 (エリック・D・ドメイン、ジョセフ.オルーク著、上原隆平訳)、午後に『迷路館の殺人<新装改訂版> 』(綾辻行人著)である。
綾辻さんからは、数日前に『Another』もご恵贈いただいた。
で、『迷路館の殺人<新装改訂版> 』は、ちょっとどきどきする。『紙の悪魔』と題した巻末の解説を書いたからである。ミステリファンとして、こんな機会に恵まれた者はそうはいない。本屋さんに並ぶのは来週末ぐらいとのこと。
The Pacific Coast OrigamiUSA Conference ― 2009/11/15 14:09

丸石神その24 - 21年後の増刷 ― 2009/11/15 18:49

知らなかったが、この本には、先日甲府の古書市で見つけた『山梨県の道祖神』がまるまる一冊再録されていた。惜しいと思っているのではない。『山梨県の道祖神』オリジナルには、巻末の出版紹介で、『甲斐の落葉』とするところを『甲斐の葉落』とするなど、見所も多いのである(なんだそれ)。
しかし、この21年ぶりというのは、丸石神はやっぱり「きている」のか?
丸石は台石上に置かれていても野草にうずもれていても、ただそれだけの丸石だけに尊く美しいと見る。葉もれ日をうつすときも雨にうたれてあやしく光るときも、この神々しさ、この美しさに勝るものが他にあろうかとさえ思います。その造形の平凡さのもつ奇態の美しさを何と表現していいのか私は知りません。『丸石神の謎』(中沢厚)から
というわけで、中沢さんの丸石神への惚れ込みかたは尋常じゃない。そして、研究者として、息子の中沢新一さんとも義理の兄弟の網野善彦さんとも、立ち位置が異なっているひとで、文体も含めて、なんとなく宮本常一さんを彷彿とさせるところがあった。
なお、同書には、丸石神の写真もさまざま載っているのだが、「丸石神の謎」という章の冒頭に、長沢集落の丸石神が取り上げられているのが、友人を紹介されたようでうれしかった。
また、信濃の丸石で触れた生坂村のものに関しても、「今成隆良氏から、(略)生坂村に三カ所の丸石道祖神があると御教示いただいた」との記述があった。
円い対馬とホムンクルス ― 2009/11/15 18:54

この円い対馬は、14世紀朝鮮でつくられた『海東諸国記』という書物にあるもので、詳しいことは同書(『なぜ対馬は円く描かれたのか』)を読んでもらうとして、つまりは、浅茅湾の部分が強調されたかたちである。
地図が物理的な距離を反映させずに、情報の多寡や心理的な距離を反映させるものとなっているのはよくあることだが、この種の古地図の「歪み」を見ると、わたしはいつも、体性感覚を脳皮質の面積に対応させて表現した、くちびるや手が巨大になっている人形、いわゆる「ペンフィールドのホムンクルス」を思い浮かべる。
電力ピエロ ― 2009/11/19 22:59

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