折り紙の数学に興味をもつひとは必携の本2009/11/07 22:50

『幾何的な折りアルゴリズム』
 北陸先端科学技術大学院大学の上原隆平さんから、エリック・D・ドメイン、ジョセフ.オルーク著、上原隆平訳の『幾何的な折りアルゴリズム -リンケージ・折り紙・多面体-』 amazon)をご恵贈いただいた。原著は2007年に出版され、翻訳中の原稿も瞥見したことがあるが、500ページにおよぶずっしりと重いこの本を持つと、原本の充実ぶりはもちろん、この本を訳そうと決め、それを短期間でなしとげた上原さんに頭が下がる。
 上原さんのあとがきにいわく、
本書はかなり幅広い内容の本である. 高校生でもわかるようなやさしいこともあれば, 現時点で理解できるひとはほとんどいないのではなかろうかと思うこともある.
 「現時点で理解できるひとはほとんどいないのでは」ってのはすごいが、折り紙の数学に興味をもつひとは必携の本である。
 索引で自分の名前などの関連項目をまずチェックしてしまうのは、まあ人情だが、本書の索引は、ちょっと変わっていて面白かった。人名索引、(事項)索引、用語和英一覧のほかに、50項目余りの「未解決問題索引」なるものがあるのだ。問題の意味はけっこう簡単に理解できるのに証明されていない問題もあり、なんだかわくわくする。
 なお、著者のひとり・エリック・ドメインさんは、MITの教員の最年少記録(20才)を持つ天才。
 また、この本のサポートページは、ここ

コメント

_ grauke ― 2009/11/08 10:36

こんにちは

先日の天才研究者の方はドメインさんでした。
最近、本の1ページを数秒で読める力がほしいと思うのです。

_ maekawa ― 2009/11/09 23:31

 斜め読みばかりしているわたしが言うのもなんですが、本には読むのには、相応しい速度はやはりあるんじゃないですか。文学作品は文体のリズムに合わせたほうがよいし、数式を追わなければいけないような本は、どんなに頭の切れるひとでも速読には限度があるでしょう。わかったつもりでも、あとで全然わかっていなかったことに気づくこともあるし。
 「いわゆる頭のいい人は、言わば足の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、途中の道ばたあるいはちょっとしたわき道にある肝心なものを見落とす恐れがある。」(寺田寅彦)なんてね。

_ grauke ― 2010/01/17 02:20

 こんにちは

 はずかしいお話ですが、寺田寅彦さんを存じておりませんでした。
一冊目を読みました。どの本でこの文に出会えるかしらと読みすすめています。

ちょっとした偶然で、ある講演会を拝聴した帰りに一冊目を入手したのですが、その解説文を講演会の講師の方が書いておられました。とても非現実的ですが、寺田寅彦さんの本を今読むべくして時をむかえたのかと思えてしまいました。

ありがとうございます。

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