丸石神その9−『暗黒神話』2007/11/29 23:27

諸星大二郎『暗黒神話』
 『暗黒神話』(諸星大二郎著)を読み返して、丸石神がでてくることに驚いた。装飾古墳、馬頭観音のことは覚えていたが、丸石神のことは忘れていた。初見時に丸石神のことを知っていたはずなのに、である。関心の強さの違いか。
 なお、上記引用にある「静岡県 敷島町」というのは、意図的なものかもしれないが、じっさいには存在しないし、したこともない。静岡ではなく、甲府の西に位置し、平成の大合併で甲斐市の一部になった、山梨県敷島町の誤りと思われる。ちなみに、『静岡県の道祖神』(松田香代子著)(『やまなしの道祖神祭り』図録 所収)というコラムよると、静岡には、伊豆に単体座像、駿河・富士西麓に双体像・文字碑などの道祖神が見られるが、丸石や石祠道祖神はまったくといってよいほどないという。甲斐以外で丸石神が見られるのは、『丸石神 庶民のなかに生きる神のかたち』(丸石神調査グループ編 )にもあるように、伊勢、熊野などである。
 と、重箱のスミをつついたが、諸星マンガは面白い。一般の伝奇ものの小説などの中には、背景にオカルトビリーバー(信者)の熱気を感じて目まいがするものもあるが、諸星マンガは、確信的な荒唐無稽の遊びごころで織り上げられた物語なので、安心して(?)楽しめる。

イアン・ランキン2007/11/29 23:32

『ハヤカワミステリマガジン』1月号で「折り紙」を発見した。
なぜリーバスはいつも頭があんなに回るんだろう? いつも妙な角度から事件に迫るそのやり口は、一見でたらめに紙を切ったり、紙を折ったりしているうちにできあがる、鮮やかに特徴を捉えた繊細な切り紙細工か、折り紙細工を見ているようだ。
(『縛り首が多いほど』(A Good Hanging) Ian Rankin著 延原泰子訳)
比喩として折り紙の一典型、すなわち「ある種のマジックとしての折り紙」である。