エッジのきいた麦 ― 2010/10/29 00:09

三角とはいうものの、三角形は平面図形で、蕎麦の実は立体である。正四面体にも近いが、より正確には、図左のようなかたちである。高さの異なる四面体がふたつ合わさった立体をふくらませたようなものだ。
面白いのは、ソバという言葉も、このかたちからくるらしいということだ。ソバはソバムギの略である。そして、「ソバ」は立体の稜のことであるという。ソバダツ、ソビエルなどに通じる言葉だろう。つまり、「エッジのきいた麦」というのが、その名の由来なのである。
へこめる欠片 ― 2010/10/29 21:08

六面のうち三面を吾にみせバスは過ぎたり粉雪のなか(『鈴を産むひばり』 光森裕樹著 から)
そう。バスは移動する六面体、切り取られたデカルト座標である。そして、同時には最大三面までしか見えない。粉雪によって広い三次元空間が描写されているのも効果的だ。
まだ入手していないので、書評とネット書店の立ち読みの数首だけだけれど、ほかにも、次のような「もののかたち」を詠んだ歌があった。
人を待つ吾はめぐりの街燈に暗き展開図を描かれて
野におけば掛かる兎もあるだらう手帳のリングを開いては閉づ
ジグソーの四辺へこめる欠片のみ集めて唱ふ四葉よつばと
視線がすばらしい。わたしは、物語を想像するといった方向にはほとんど向かわず、これらの歌に描かれた「かたち」を味わった。
ところで、いまこれを読んでいるひとで、ジグソーパズルのかたちのパターンを数えあげたことがあるひとはいるだろうか? 答えを書いてしまうと(図で明らかだが)、それは18種である。鏡像を同じとすれば15種だが、ジグソーパズルは片面にだけ絵があるので、鏡像パターンは別と見るべきである。上段左から三番目はパンダの顔に見える。
ジグソーの二辺へこめる欠片のみ集めて唱ふパンダぱんだと
(追記:鏡像を同じとすれば16と書いたが、15の誤り)
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