論理パズルではないのだった ― 2010/11/02 22:45
ここでクイズである。「郵便物預かりのお知らせ」に、以下のことが書いてあった。
当支店のゆうゆう窓口でのお受け取り
平日:午前0時〜午後12時(24時間)
土曜:午前0時〜午後8時
日曜・祝日:午前7時〜午後12時
日曜・祝日が休前日の場合は午後8時までです。
さて、本日11月2日(火)の 21時に、受け取りは可能だったか。
平日なので、可能と思われるが、考慮すべきは、赤字の注意書きである。非常にわかりにくい文章だが、字義どおりに解釈すれば、その日が日曜・祝日であり、かつ休前日(つまり、日曜・祝日の前日)の場合、すなわち、連休の初日または中にある日の場合は、8時までと読み取れる。11月2日(火)は休前日だが、その日自体は日曜・祝日でないので該当しないことになり、単なる平日と同じと考えられる。
しかし、じつは、受け取りはできなかったのである。文章が非常にわかりにくいものであったのは、つまり、間違いだったということだ。単に、「休前日は午後8時までです」別の言いかたをすれば「日曜・祝日の前日は午後8時までです」ということを伝えたかったらしいのである。こんなところに論理パズルがひそんでいるわけなどなかったのだ。
郵便物は受け取れなかったが、これもまた面白い経験であった。しかも、たまたま帰宅する局員のひとに出会ったので、文面の改善(というか修正)の要望もできた。
二十四のはめこみ ― 2010/11/03 00:10

ジグソーパズルにはない、向かい合わせが直線となるもの三種と、三方向が直線になるもの二種、そして、四方向が直線になるもの、すなわち正方形を加えて24パーツとし、それを、4×6の長方形に嵌め込む、というものである。面積的に4×6になることはすぐにわかるが、じっさいに嵌め込めるかは別である。試してみたところ、可能だった。
ジグソーパズルのような凸凹でもよいが、凸凹を底角22.5の二等辺三角形に単純化してみた。「四葉」は「折り鶴の基本形」になる。
題して、『二十四の瞳』ならぬ、「二十四のはめこみ」である。「二十四の凹み」のほうが韻を踏んでいるけれど、凹んでいないパーツもある。
もしかしたら、前例があるかもしれない。
木でパズルにする場合は、鏡像を除外して21ピースにしてもよいかと思ったが、これを3×7の長方形にいれるのは不可能である。
新しき本を買ひ来て読む夜半(よは)の ― 2010/11/05 08:26

神あまたやどれる細部のかたまりのブロッコリーを塩ゆでにする前者は、ブロッコリーの一種であるロマネスコを知っていると、より印象深くなる歌だ。
平泳ぎ競ふあたまが描きゆくサインカーブとコサインカーブ
後者は、ふたりのスウィマーのサイクルが1/4周期ほどずれている光景である。
平泳ぎではなくクロールの動作を単純化(手を円運動、脚は振幅が小さい振子に)して、それを図形化してみた。
クロールの泳ぐ手足が描きゆくサイクロイドとサインカーブと(図参照)
刺激され、試しに詠んではみたものの、本歌に比べわかりにくいな。
ことば書き、つけた歌なら数あるが、図参照など聞いたことない。
道路標識「すべりやすい」 ― 2010/11/08 20:25

写真左上は、道路標識・「すべりやすい」(スリップ注意)である。この図で興味深いのは、わだちが交差していることだ。これが起こりうるのは、車がスリップターンして半回転した場合である(図)。
図のように右と左の回転が考えられるが、このわだちであれば、時計回り(図右)のほうが回転が滑らかである。「滑らかである」と言っても、ドリフト族でもない普通のドライバーにとっては、これはたいへんな事態である。この車は、うしろ向きではなく、前向きになっているのだ。そう思って見れば、図には描かれてはいない「ああ、びっくりした」という運転者の顔が浮かぶようだ。
まあ、後輪のわだち(図のグレー)が描かれていないので、単に「筆がすべった」のだろう。
左下は、この標識を見ているうちに、それがUFOのように見えてきたのでつくった偽写真である。空を飛べば、「軌跡」が交差するのは容易い。
偽標識 ― 2010/11/09 23:19

左:今回つくったもの。じつにあほらしいネタだが、気にいってしまった。
真ん中:以前、Tシャツのプリントのためにつくったもの。鋏禁止マークは、誰が最初に描いたのか不明だけれど、折り紙界の定番になっている。
右:「幅員減少」を見るたびに、「底の抜けた瓶だなあ」と思う。
「千の風」を計算する ― 2010/11/12 23:47
ハーケンのごとく打たれし注釈を頼りにソースコードを辿りぬソースコードというのは、機械語に翻訳変換する前の、ひとにわかるプログラミング言語で書かれたコンピュータプログラムことである。ひとにわかると言っても、コンピュータが直接扱う機械語に比べてのことで、わかりやすく書くのは難しいし、わかりやすいプログラムは多くない。書いたひとにもわからなくなっていることも珍しくない。そのとき、解読の重要な鍵になるのが注釈である。
先週のわたしも、まさにこれだった。プログラムを見通しよく変更するため、ソースコードを読んでいた。地球と天体の相対速度を計算するプログラムである。作業としては地味だが、扱っているデータは、大地が宇宙空間を高速で運動していることを示していた。
さて。光森裕樹さんの歌集の影響で、最近短歌が気になって、手元にある歌集を読み返し、また、あらたに読んでいる。やるべきことがたまっているのだが、「こういうときに限って自由な時間がほしくなる現象」である。ひとつは、理系的な歌を探すのがたのしい。わたしの中の学問の二大分類は「理系文系」ではなく「自然系人工系」であり、エンジニアリングは人工に属し、コンピュータや数学が詠まれていると即理系というわけでもない。だが、「理系的」な歌というのはある。
かの星に人の棲むとはまことにや晴れたる空の寂し暮れゆく (若山牧水)牧水の歌は、当時(19世紀末から20世紀初等)、知的生命がいるかもしれないと話題になった火星を詠んだものだが、次の沢田さんの歌は、より遠い太陽系外の惑星を思わせる。
この空に数かぎりない星がありその星ごとにまた空がある (沢田英史)
われらみな宇宙の闇に飛び散りし星のかけらの夢のつづきか (沢田英史)
沢田さんのふたつめの歌は、つぎの科学的知見をもとにした歌だ。
水素やヘリウムなどより重い、いわゆる重元素が、核融合によって、恒星の内部で、そして超新星爆発で生み出され、それが拡散しまた凝集し、生命の材料になったのである。炭素も酸素もみな星の中でつくられたのだ。
ただし、生命の特徴は、材料よりも材料がどのように結びついたかにあるので、モノが同じということに連続性を見るのは、思い込みが強いと言えるかもしれない。
思い込みとも言えるが、これは、「千の風になって」に通じる考えとも言える。そこで思いついて、ある計算をしてみたら、これが数値的にぴったり(?)だった、というのが以下の話である。「千の風になって」に関する即物的な計算で、ひとが息をひきとる前の最期の息が、地球の大気に拡散するとどうなるかというものだ。
(1)地球大気の総量の概算
地上の気圧は約1000hPaである。PaはMKS単位の単位面積あたりの力で、hectoは100なので、重力加速度を一定の9.8m毎秒毎秒とすれば、地表1平方mあたりの空気の質量は、約1万kgとなる。
いっぽう、地球の赤道の長さは4万kmなので、表面積(4πr^2)は、4×(200万m)^2/π、すなわち、約500兆(5×10の14乗)平方mになる。
空気の層は、地球にくらべればごく薄いので、これを掛け合わせた、5千兆トン(5×10の18乗kg)が、おおよその地球の大気の総質量である。
(2)呼気の量
ヒトの1回の呼気量は約1リットル(0.001立方m)である。これは、ほぼ二酸化炭素かというと、その含有量は数%で、空気とほぼ同じ組成で窒素分子(分子量約28)約80%である。したがってモル質量は約30gとなる。理想気体のモル体積は約22.4リットルであるから、1リットルの呼気の質量は、約1.5gである。
(3)大気の分子数の概算
アボガドロ数(1モルに含まれる分子数)は約6×10の23乗で、理想気体のモル体積は約22.4リットルなので、1気圧1立方mあたりの大気の分子数は、約3×10の25乗である。
(4)窒素の存在量
呼気(大気)の約80%は窒素である。窒素は、地殻にある(短いタイムスケールでは化学反応をしないと考えられる)ものを除けば、窒素分子として空気中にあるものが、地表や海洋にあるものの約10倍あるとされる。すなわち、化学反応が起きた場合も、それは、ほとんど、大気中の窒素分子として拡散される。
(5)「千の分子」
全地球の大気中に呼気が完全に拡散されたとする(これが一番怪しい仮定だろう)と、その比率は、(1)と(2)から、大気総量の約30万兆(3×10の21乗)分の1になる。したがって、1気圧1立方mあたりには、3×10の25乗÷3×10の21乗で、約1万個の息の分子があることになる。風速1mの微風があったとして、1秒間に1平方mの面積に衝突する「息」の分子の数が1万個という計算である。ひとを0.3×0.3×1.5mの直方体とすれば、風に面しているのは約0.5平方メートルと見積もることができる。よって、風速1mの微風のときにあたる「息」起源の分子は、数千個となる。すなわち「千の風」は「千の分子」であった。
以上、妙な計算である。ところどころ、入試問題みたいで、一応検算したけれど、間違いがあるかもしれないので、信用はしないように。
今日は、帰宅してから、ほとんどこれを考えていた。われながらわけがわからない。
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