アイコンとしての折り紙2009/09/26 09:20

 先日、書店の店頭で、『シンプルな英語で日本を紹介する』(曽根田憲三、ブルース・パーキンス著)というCD-ROMつきの本が、折鶴のアイコンを表紙にしていることに気がついた。よく見ると、風車、手裏剣、兜なども使われていた。「娯楽」という項目には、「折り紙」「千羽鶴」などの例文もあった。日本のアイコンとして折り紙が使われていたり、折り紙が取り上げられているのはうれしい。ただ、(立ち読みしただけなので申し訳ないけれど、)例文中に、「遊びのための折り紙は室町時代から」といった文意があったのはちょっと残念だった。室町時代の遊戯折り紙は確認されておらず、その根拠はほぼ否定されている。まあ、この説は流布されてきたので、無理がないところもある。(後記:2014/09:室町時代を広義に天正元年より前までとすると、たしかな証拠はないが、可能性はなくもない)なお、折り紙の風車も、明治以降に西洋から輸入されたものであることが確実である。
 伝統と思われるものがそう古くなく、伝統を必要とする場合などに「生み出される」ということは多い。ニーチェのいう「結果と原因の遠近法的倒錯」というものだ。歴史を知る面白さのひとつは、単なる事実で、そうした物語がひっくり返るところにある。

コメント

_ Joker ― 2009/09/26 13:03

先日、東京芝のとうふ屋うかいに行ったのですが、トイレットペーパーが折り鶴模様で嬉しくなりました。

_ maekawa ― 2009/09/27 12:35

高級店に行っていますねえ。
折鶴模様の透かし入りのトイレットペーパーは、うちでは、額装して飾ってあります。

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