折り紙につながった(?)結晶の話をふたつ2012/02/01 22:06

御幣状結晶(『雪の結晶図鑑』)と御幣
◇その1
黄鉄鉱は、立方体、正八面体、五角十二面体等の結晶で知られる。ただし、五角十二面体といっても、面が正五角形の正十二面体ではない。黄鉄鉱は立方晶系で、立方体に屋根をつけたような対称性により十二面体になりうるのだが、面角一定の法則で「屋根」の傾きが決まっていて、正五角形にはなりえないのである。しかし、黄鉄鉱で検索すると、鉱物販売サイトに完全な正十二面体のものがあった。これは、間違いなく削り出している。そういうことしちゃだめだなあ。

黄鉄鉱の十二面体に関しては、Pyritohedron(黄鉄鉱体)という言葉もあるようだ。
関連して、Wolfram MathWorldのPyritohedronDodecahedronを見ると、Dodecahedronのページに「an origami dodecahedron constructed using six dodecahedron units, each consisting of a single sheet of paper (Kasahara and Takahama 1987, pp. 86-87)」という折り紙モデルの写真が載っていた。笠原さんと高濱さんの編著『Origami for the Connoisseur』(『トップおりがみ』(絶版)の英訳版)に載ったわたしの作品だが、「six dodecahedron units」という説明は変である。

◇その2
先日、図書館で、『雪の結晶図鑑』(菊地勝弘、梶川正弘著)という本を借りた。写真集のようにも味わえる本で、中谷宇吉郎没後50年記念出版でもある。

この本で初めて知った雪の結晶に、1968年の南極越冬観測のさい(著者の菊地勝弘さんが当事者)に発見された「御幣状結晶」なるものがあった(写真左)。じっさい、御幣(写真右:愛知県東栄町月地区・花祭のカマドの幣束)によく似ている。偏光顕微鏡写真による「色合い」と、カクカクした連続構造から、ビスマスの結晶も彷彿とさせる。御幣状結晶という名は、英語でもGohei Twin(Twinは双晶-平面を対称面とした結合した結晶-のこと)だそうで、茶目っ気を感じる。

鉱物や結晶の近辺には、パワーストーンがどうした、水からのナントカなど、怪しげなひとたちもいるので、御幣状結晶も、「これは神慮だ!」なんて言われてしまうかも。

コメント

_ Joker ― 2012/02/02 21:14

こんばんは。ご無沙汰しています。雪の結晶の話題、先月、北大の低温研が発表したニュースを思い出しました。氷の新しい融け方を発見したという話です。雪の結晶パターンが、なぜそうなのか。いつか解明されるといいなあ。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/120110_pr_lowtem.pdf
雪の結晶パターンといえば中谷宇吉郎さんですよね。立春に卵が立つという俗説に対して、卵は立春でなくても立つ、というエッセイを、ふと思い出しました。アンチオカルトな精神が面白くて、自分でも遊んでみた記憶があります。……いつもながら、脱線して済みません。

_ maekawa ― 2012/02/03 17:30

今朝の野辺山は、御幣状結晶の雪ができるんじゃないかというぐらい冷えました。地上1.5m気温、マイナス25度を下回っていました。

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