『本格折り紙√2』 誤植22010/12/01 21:55

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誤:ジャコーモ・P. マラルディ
正:ジャコーモ・F. マラルディ

マラルディは、イタリア出身でフランスで活躍したひとなので、ジャコーモ・フィリッポ・マラルディ(Giacomo Filippo Maraldi)と、ジャック・フィリップ・マラルディ(Jacques Philippe Maraldi)のふたつの名がありますが、ジャコーモの場合はF.が、ジャックの場合は、P.が正しいことになります。

85ページ 13図キャプション
誤:半分のサイズ(A6)で67ページの「充填八面体」をつくります。
正:半分のサイズ(A6)で64ページの「充填八面体」をつくります。

24パズル2010/12/01 21:56

24パズル
 パズル・「二十四のはめこみ」を、木工家の川口さんの手で、「モノ」にしてもらった。
 色によって鏡像を区別するようにと依頼したので、ブラウンと白い木材を貼り合わせたピースになっている。じっさいに手にして楽しんでみると、適度に難しく、なかなかよい。なにより、工芸品としてきれいで、チェッカー組み(写真左上)など、裏表を生かした組みかたもよい。

 パズルの題名は「24パズル」というシンプルなものに変更した。八角形と十字が太陽と星に見える(写真右上)のも、24という「一日」を連想させる数にぴったりだ。また、前にも書いたが、十字は、「折り鶴の基本形」でもある。「おりがみ(正方形)」もある。他のピースにも、「銀杏」「繭」「R」「キリル文字」「猪」「俵」などの愛称をつけた。単純なかたちをなにかに見立てしまうのは、折紙者の性だ。

 正方形を基本にした凸凹を網羅するという単純な原理なのだが、調べた限りでは前例はなかった。似ていると思ったのは20年ぐらい前(?)にあった「プラパズル No. 0」だが、じっさいはかなり異なる。

 デザインとして、図(右下)のように円弧のものも考えた。それなりに美しいのだが、とがった部分が鋭すぎ、見た目のパーツの大きさの違いも目立ち、手作りでは、工作の難しさも予想される。

 24=5×5-1なので、一こま欠けた5×5の正方形にも組めるが、真ん中を正方形の穴にすることはできない。

 欲しいひとは、工房くんぺい舎(この記事参照)が受注生産するとのこと。

汎銀河ウガイ薬バクダン2010/12/04 11:47

 辺境探検作家・高野秀行さんが、ブログで絶賛していた『銀河ヒッチハイク・ガイド』(ダクラス・アダムス著 安原和見訳)を読んだ。以前から古典的名作という世評の高さは聞いていて、「バカSFの歴史に燦然と光り輝く超弩級の大傑作」(大森望氏)との評まである。

 なるほど、最高にくだらなかった。数ページに1回はツボがある。コンピュータの名前だけで笑える小説なんてほかにはないだろう。グレート・ハイパーロビック・オムニコグネート・ニュートロン・ラングラーときたもんだ。むやみにおおげさで、その実、無意味。あはは。安原さんの訳では、「大超脳葉全知中性子雄弁者」に「グレート...」の仮名がふってある。HyperlobicはHyperbolic(双曲線の、誇張された)の誤植かとも思ったが、造語のようだ。造語だろうと誤植だろうとあんまり変わりないけれど、私的な訳も考えてみた。「大超越葉状万物同系ニュートロン折伏機」なんてどう?

 グーゴルプレックス・スター・シンカーなんてのもでてくる。こちらの私的訳は「溝倍無量大数乗冪 星界思索機」。1Googolplex=10の(1溝×1無量大数)乗という計算に誤りはないはずである。(こんなところで検算してなんになる)

 銀河最強の酒、パン・ギャラクティック・ガーグル・ブラスター(汎銀河ガラガラドッカン:旧訳(風見潤訳)では「汎銀河ウガイ薬バクダン」とのこと)なるものもでてきて、これからも連想が広がった。森見登美彦さんの小説に登場する謎のリキュール「偽電気ブラン」も思い浮かべたが、より以上に記憶が呼び覚まされたのは、ずいぶん前のアメリカのレストランでの会食でのことだった。ひとりのイギリス人(たしか)が、ルートビアに関して話していた。

 ルートビアというのは、ビールではなく、アメリカ国外では入手困難な炭酸清涼飲料である。オーストラリアのベジマイト(やたらに塩辛いパン用のペースト)、(東)日本の納豆のような、特定の地域でのみ大量消費される食品の代表だ。そのひとは、次のように断言していた。

「あれは、咳止めシロップの味がするね」
その後わたしも飲んだが、じっさいそんな味であった。そして、彼は言っていた。
「だけど、わたしは好きだ。そうだ。ほら、日本にも変なのがあるでしょう?ポカ汗とかいうやつ。飲料に『汗』がつくのはびっくりだね」
「ポカリスウェット?」
「そう、それ! あれも好きだなあ。日本での想い出だ」

 ということを思い出して、「汎銀河ウガイ薬バクダン」には、ルートビアへのイギリス的揶揄がひそんでいる、とも思ったのである。

 なんてことをいま書いているわたしは、数日前から喉が荒れている。ドラッグストアで喉スプレー薬を買ってきて使っているが、さわやなミント味で、もっとなつかしいヨウ素の味のするやつにしておけばよかったと、ちょっと後悔している。

マクマホンのスーパードミノ2010/12/06 12:28

マクマホンのスパードミノ
 「24パズル」と同じ原理のパズルが、「マクマホンのスーパードミノ(MacMahon's superdomino)」として知られていることが判明した。ジグソータイプのデザイン(絵は凸凹の向きにも意味を持たせている)が、Conwayさんの1968年のクリスマスカードにもなっている。この図は『Winning Way』(Elwyn R. Berlekamp、John Horton Conway、Richard K. Guy 著)(上原隆平さん提供)から。その筋の名著なので、わたしも、チェックが甘いなあと。
 単純な原理なので、やはり前例はあった。一見別のパズルに見えるけれど、本質は同じだ。まあ、凸凹を22.5度の二等辺三角形にして、裏表を色で区別というのは、悪くないデザイン、だよね?

パズルをみっつ2010/12/08 22:34

パズルをみっつ
 マクマホンのスーパードミノのバリエーションを考えた。
 図上段:正三角形の凸凹パターンによるパズルである。パターンを網羅した10ピース(または、鏡像を含めた11ピース)からは単純なかたちができなかったので、同じものをふたつ使ってみた。

 図中段:上記パズルの直線部のない4種のパターンを「立体化」して、正四面体を組むというものである。正四面体を4分割した三角錐の面に穴や突起をつけ、それを嵌め込むのである。

 図下段:直線部のない凸凹パターンは、四角形を基準にした場合、6種になるので、こちらは立方体ができる。正四面体は簡単そうだが、立方体はそれなりのパズルになるかもしれない。五角形は、凸凹パターンが8種になるので、残念ながら、正十二面体パズルにはならない。

銀杏タイル2010/12/08 22:36

銀杏タイル
 「24パズル」の1ピース「銀杏」を見ていて、あらためて、このかたちのタイルとしての面白さを再確認した。左上が青海波に相当するが、このかたちには、図のように、これとは異なった埋め尽くしパターンもあるのだ。左下のパターンは、リズムが面白い。