新ひふみ歌2016/10/06 00:57

前の記事に書いた新いろは歌で、数詞の阿僧祇と那由多が、いろは48文字で重複しないというのは面白いじゃないか、と思ったわけだが、数詞といろは歌と言えば、「ひふみよいむなやこともちろ...」という「ひふみ祝詞」なるものもある。

一二三四五六七八九十百千万(ひふみよいむなやこともちろ)の「百(もも)」や「千(ち)」は納得であり、「万(よ「ろ」ず)」もなるほどということで、これはかなり面白い。ただ、その先にも続くところは、さっぱりわからない。解釈(こじつけ)の欲望もあまりわいてこないわからなさである。

ここですこし考えてみたいのは、そもそも数詞の文字が重複していないのはなぜなのか、ということである。祝詞のほうが先にあって、数詞がそこから決まったというような伝説は信じがたく、ひふみ祝詞も、この重複のなさがゆえにできたものだろう。

まずは、このブログに前にも書いたように、ひ×2=ふ、み×2=む、よ×2=やというH、M、Y音における倍数関係がある。これは、間違いなく、和語の数詞の起源のひとつだろう。そして、古人は、こうした関連をつけながらも、使いやすさのために、それぞれの数に違う「言葉」を、一音節で与えたのではないか、と推測する。ゆえに和語の数詞は、重複していない文字になっているのではないか、と。(えー、専門研究のようなものはまったく参照していません)

あらためてこのことが面白かったので、新ひふみ歌もつくってみた。万(ろ)は、いまひとつしっくりこないので外したが、これは七五調にもちょうどよいのであった。
新ひふみ歌
ひふみよいむな やこともち
かすのくらゐを そろへたる
ゑんしうりつに おてあはせ
さねきえぬわけ ゆめほまれ

一二三四五六七 八九十百千
数の位を 揃へたる
円周率に お手合はせ
さね消えぬわけ 夢誉れ
さね=決して
ちなみに、近世までは、円周率は円積率と言っていたようだが、まあよい。

数字と言葉遊びと言えば、『折紙探偵団』に書いたエッセイ・『算法・奥の細道』(2008)のさいにつくった「迷句」もあったことを思い出した。和算における折り紙の調査をするために、真夏の東北に、汗をかきかき、算額(和算の絵馬)を調査しに行ったときの話の中に書いたものである。

陽に俯して 算士の遺文に 向かう夏

「一に二して 三四の五ぶんに 六かう七」と、和算の話題らしく「一二三四五六七」を織り込んだのだ。「三と四」が漢音なのと、遺文(ゐぶん)と五(いつ)の違いは惜しいが、帰りの新幹線の中ではそれだけを考えていた記憶がある。だれも感心してくれなかったけれど、本人は気にいっていた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策:このブログの作者は?(漢字。姓名の間に空白なし)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://origami.asablo.jp/blog/2016/10/06/8215530/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。