冬至と畳の目 ― 2012/12/28 21:26
「冬至が過ぎて、日の出と日没の時刻はどれだけどうなるの」と訊かれた。
じつは、冬至を過ぎても、しばらくは日の出の時刻は遅くなる。そのぶん、日没の時刻が余計に遅くなって陽が長くなる。これは、平均太陽時(時計の時刻)と視太陽時(日時計の時刻)の差(均時差)に周期的増減があるためだ(自転軸に傾きがあり、また、公転軌道が楕円であることによる)。グラフにしてみると、日の出の「極小」と日没の「極大」(およびその逆)の日付がわずかにずれていることがわかる。
関連して、「冬至から畳の目だけ陽が伸びる」という表現について、これが写実的かどうかということを確かめてみた。「陽の伸び」を畳の目で数える定量的方法(?!)には、以下のようなことが考えられる。
陽が長くなると、太陽高度は高くなる。太陽高度が高くなると、部屋にはいる陽射しは窓寄りに移動する。それを、最も太陽高度が高い時刻、すなわち南中で比較する。陽の光の境界線のぎりぎりがどこまでだったのかを、南向きの部屋の畳の目で数えるわけである。
今年の冬至日は12月21日で、12月21日と22日の東京での太陽の南中高度の差は、約1000分の2度の増加であった。軒の高さを2mとして、このときの陽射しの長さの差を計算してみると約0.3mmになる。
0.3mmは、畳の目と呼ぶには小さすぎるが、これは、今年の冬至点(太陽の天空での緯度(赤緯)が最小になる点)の時刻が、12月21日20時12分と、21日と22日の境界近くにあり、両日の太陽の南中高度が近くなったことが影響している。これが、22日と23日の差となると、もっと大きく約1mmになり、まさに畳の目の長さに近づく。同じように、23日と24日では4mm、大晦日と1月1日では、約1cmになる。これもグラフにしてみた。立春前後に大きい値(日に約3cm)が続くことがわかる。立春前のこの時期に「日脚伸ぶ(ひあしのぶ)」という季語があるのも納得できる感じである。
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