メランコリアの多面体 ― 2011/03/01 00:09

この立体は、以前折り紙でつくったこともあるが、今ひとつエレガントにはできなかった。今回、変則用紙による表裏同等折りに案外向いたテーマではないか、と思いなしたのである。
もとになる菱形の比率は、画家・榎本和子さんの説に則って72度108度とした。以前つくった表裏同等立方体「ヘキサキューブ」と同じ構造になっている。
立方体内接正十二面体 ― 2011/03/02 22:33

立方体と正八面体の相貫体 ― 2011/03/04 00:38

図左上と写真中上は、ユニットモデルである。面が互いに交差するという特徴だけをのこして、とにかく単純化してみた。切り込みのある正三角形八枚と正方形六枚である。折る部分がないので、もはや折り紙ではないが、きれいな結果になった。パズルとしても面白い。確認できていないが、これは、たぶん前例があるだろう。
この十四枚組をもとに、表裏同等立方体の構造を使って、三枚組にしてみた(図右上)。十四枚組の場合、素材の厚みによる「ねじれ」が分散されるのだが、三枚組では、これがなかなかやっかいだった。やや厚みのある透明シート素材では、きれいには組めなかった。
つぎに、相貫体の内部平面を無視して、外側だけの造形を、表裏同等の一枚折りでやってみた(図、写真下)。干渉しそうな面がうまく配置でき、これはきれいにまとまった。
「ちょっと欠け立方体」 ― 2011/03/06 14:42

というわけで、まずできたのが、図・写真下の十二角形(「正」ではない)を使った「3Dダビデの星」だ。構造はきれいなのだが、まとまりはいまひとつである。
このかたちが、立方体の8頂点のうち、6頂点を引き延ばした立体であることから、立方体に変形してみようと、展開図を調整してみた。こうして得られたのが、図・写真上の「ちょっと欠け立方体」である。紙の使いかたに無駄がなく、まとまりもよい。単純な用紙形からのモデルは、いかにも「折り紙」という気がして、そういう面での達成感がある。
立方体に直感的にむすびつく平面図形は、当然のことながら正方形だが、こういう立体を見ていると、立方体というのは、正六角形で象徴される立体という気もしてくる。
六角柱と立方体 ― 2011/03/06 14:44

このかたちは、水晶(石英の結晶)のようにも見えるが、じっさいの水晶の結晶の末端は正方形にはならないようだ。
まずは、このかたちを、図のような三枚プロペラのような展開図でつくってみた、最後の組み合わせがパズル的で面白い。これを表裏同等にすると、図下、写真下中のようになる。頂点で接するふたつの立方体が、正六角形の面をはさんで綱引きをしているようなかたちである。
写真右下は、これを√2用紙8枚組でつくってみたものである。√2用紙の幾何造形はかなり試したつもりだったが、これはやっていなかった。
「ただし角はない 」(?) ― 2011/03/07 23:14

これが、極端に複雑なかたちからできた単純な立方体であれば、それはそれで面白かったのだが、このモデルは、その点でも中途半端だった。
ここで思ったのは、「単純なかたち→複雑なかたち」という「正統派」の折り紙と、「複雑なかたち→単純なかたち」という造形は同根のものではないか、ということだ。後者は、箱詰めパズルなどを思い浮かべているのだが、いずれもが、複雑さの中に単純さを、単純さの中に複雑さを見る、というのふたつの面を持っている、と言えなくもない。
折り紙で正方形が好まれるのには、さまざまな理由があるが、そのひとつは、正方形が単純な図形、原理的なかたちとして認識されているからである。それは、かたちを見いだすときの規範である。
三年生だったときの九月から十月にかけて、ぼくは正方形なものを研究していた。ぼくは街にある正方形なものを見つけるたびに記録していた。(略)(『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦著)
やがてぼくは三角形や円や曲線の研究も始めたが、今でもやはり正方形が一番ステキだと信じるものだ。
無限は正方形をしている。ただし角はない。(『正方形』(ブルーノ・ムナーリ著 阿部雅世訳)
中国の古いことわざ
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