日の出日の入りと月齢2011/03/19 11:12

 昨晩も煌々と月が輝いていたが、明日(今日深夜)が満月だ。数日前の停電のさいも、月の明るさですこし助かった。停電が続くと、日の出日の入り、月齢の情報は重要かもしれない。国立天文台による情報は天文情報センター暦計算室のページで閲覧ができる。ただし、このサイトも停電により閲覧できない場合がある(お知らせ参照)。

 なお、明日は、月と地球が最接近する日でもある。月の公転半径の平均は、約38万4400キロメートルだが、明日の最接近時には、約35万6500キロメートルで、10%以上月が大きく見えることになる。
(月の接近と地震の関係を云々するひともいるが、検証可能な事実はない。そもそも11日は、どちらかというと近地点より、遠地点に近い)
(追記:19年ぶりの最接近という報もあるが、ちょっと疑問に思って、計算してみたら、そんなこともなかった。近いほうであるのはたしかだが、最接近ではなく、近地点の時刻と満月の時刻のずれが小さいので、19年ぶりの明るさということであろう。大潮には気をつけないといけないが、単に今日は月見に向いた日であるということだ)

 話は変わる。国立天文台には水沢VLBI観測所という施設がある。内陸部だが今回の被災地域内にある。職員の人的被害、建物被害はなかったという情報だが、正確な数値は別にして、サイトが、東に約2m、南へ約1mに移動したという一報もあった。

 水沢といえば、昨日読み返していた本にこんな一節があった。
 水沢緯度観測所初代所長の木村栄博士は、自称世界的学者の多い中に、今から三十年前に各国から推戴されて全世界の緯度観測の委員長となり、その整約を托された本物の世界的権威であるが、所長自ら深夜星を追う程の観測のベテランであった。巷間この先生が、観測に没頭する余り、日露戦争を知らなかったという説がある。
 これは勿論、一般の人々の現実逃避の願望が、実現の可能性を天文学者に托したものだろうが、これが経済学者や工学者に向けられないで、天文学者に噂されるというのが勘所である。
『星を追う人々』(辻光之助 1957)『日本の名随筆 別巻16 星座』(藤井旭編)

 このエッセイには、灯火管制化の東京天文台で微光星の観測をしていたひとの話などもあるが、じっさいは、天文学者、天文台スタッフといえども、地上に住んでいる者であるのは変わらない。