約22.5度はうれしい2010/01/20 21:36

22度ハロ
 今日、野辺山観測所の談話会で、自然写真家・牛山俊男さんの話があった。低緯度オーロラや流星痕など、珍しく美しい写真に圧倒されたが、牛山さんが写真家を志した頃のものという、暈(かさ、うん、ハロ)のかかった月の写真もよかった。月を中心にして、同心円状に光の輪があるという写真である。
 わたしは、気象現象の中でも、とりわけこのハロが好きだ。なぜか。角度が好みの角度なのである。ハロには、いくつか種類があるが、最もよく見られるのは(わたしは、これしか見たことはない)、22度ハロである。月や太陽を中心にして、光の輪が視半径約22度のところにできるものだ。この約22度という値は、以下のようにして決まる。

 22度ハロをつくるのは、六角柱の氷の結晶である。氷柱の側面から太陽光が入射し、ひとつおいた側面に抜ける場合、入射の角度によらず面の角度と氷の屈折率だけで、屈折方向が決まる。式は、2sin-1(Nsin(θ/2))-θというもの(Nは屈折率で、θはプリズムの頂角)になる。氷の黄色光に対する屈折率は約1.31という値で、六角柱のひとつおいた2側面のプリズムの頂角は60度になるため、結果は約22度になる。
 46度ハロというものもある。これは、氷柱の末端面と側面ひとつがプリズム面となること(つまり、 90度プリズム)によるものである。(参考文献:『自然の中の数学 上』(J.アダム著  一樂重雄、一樂祥子訳))

 というように、1.31という氷の屈折率と六角柱の氷の結晶というかたちから、屈折の角度が、直角の1/2(45度)と1/4(22.5)に近くなるのである。

 それがどうしたかって。「折り紙設計」創成のころからは隔世の感があるが、折り紙創作者同士の会話で「22.5度系だね」などという言葉が普通になっているように、22.5度というのは、折紙者にとって、調和あるかたちをつくるときの、特別な角度なのである。近似的ではあるが、意外なところに22度などという値がでてきただけで、うれしくなるのだ。

 地球の地軸の傾きが23.5度というのも、惜しいなあと思う。こういう偶然を喜び過ぎるのはオカルトなんだけれど。