つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを(在原業平)2018/12/29 08:32

先々週、母が逝った。年初には父が逝き、今年は、父と母を亡くした年になった。

実家から『日本大歳時記 座右版』(水原秋桜子他監修)をもらってきた。1700ページのコンクリートブロックのような大著で、35年前の出版である。父も母も作句をするひとではなかったので、なぜこの立派な歳時記を求めたのか詳しいところはわからないが、こうした本を傍らにおいておきたい気持ちはわかる。ぱらぱらとめくっていると、次の句が目にとまった。

父逝きしこの年の瀬の青き空 田中鬼骨

この句の父を「父母」に変えて読んでみた。そして、青空をモチーフにして、野辺山観測所からの八ヶ岳の稜線を折ってみた。
八ヶ岳と青空

空はどこからが空なのかということで、次の歌も思い浮かんだ。

どこまでが空かと思い 結局は 地上スレスレまで空である 奥村晃作

同様の発想では、次の句もすばらしい。

雁よりも高きところを空といふ 今瀬剛一

こちらのほうが「詩的」といえばそうだが、奥村さんの歌の身もふたもない感じ、当たり前が反転しての不条理な感覚も、読む者をつかんで離さない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策:このブログの作者は?(漢字。姓名の間に空白なし)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://origami.asablo.jp/blog/2018/12/29/9018439/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。