カルテジアントップなど2018/12/05 22:19

◆椎茸の螺旋
椎茸の螺旋
味噌汁にはいっていた椎茸の断面が、ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の界面のかたちというか、北斎の『神奈川沖の浪裏』というか、きれいな螺旋であった。とくに珍しくはないが、なんかきれいだな、と。

◆切り抜きサイコロ(折り鶴版)
切り抜きサイコロ(折り鶴版)
先日の切り抜きサイコロのバリエーションである。

◆カルテジアントップ
折り紙コマ
山口真さんなど、折り紙のコマのよい作品を持っているひとが何人かいるので、わたしもひとつ、と考えてみた。幾何造形的にきっちりしている、XYZのデカルト座標的な構造にした。50-60年代の特撮映画の空飛ぶ円盤みたいなかたちで、けっこうよく回る。想像がつくように、回転面を正八角形にしたもののほうが性能がよい。といっても、ふつうの折り紙用紙でつくると、回転時間は3秒間ぐらいだ。周縁部にクリップなどを対称的につけると、フライホイール(はずみ車)の効果で、回転時間が3倍ぐらい伸びる。

「カルテジアントップ」という命名は、デカルト座標的なコマという意味である。コマは英語でtop、より説明的な表現ではspinning topだ。『Concise Oxford English Dictionary』には語源は不明とあったが、果実のヘタをtopと呼ぶので、それとの形状の類似からきたのではないかと想像している。なんの文献的な根拠もないけれど。

語源といえば、漢字の独楽という表記も謎だ。中国では陀螺と書くことが『広漢和辞典』などにあり、すくなくとも現代では、独楽は、日本のみでの表記らしい。幕末の考証随筆『守貞謾稿』(喜田川守貞)には、「独楽をこまと訓ずこと後考すべし」とあるが、単に「あとで考えよう」というだけで、とくに説明がない。

これは、陀螺(トゥオルゥオ)の発音が独楽の音に通じるところからきているのと考えるのが素直だろう。陀螺(トゥオ ルゥオ)→(トクラ)→独楽ということで、中国の単語の音に対する別の文字での当て字である。

コマという音に関しては、『守貞謾稿』は、「くるまの略語か」と述べながら「予は学ばざる故に、これを弁ぜず。後日、識者に問あきらむべし」と、自信なさげだ。『守貞謾稿』と同時期の『嬉遊笑覧』(喜多村イン庭)では、平安時代の『和名類聚抄』にある古末都玖利(コマツクリ)という記述などを引用し、「高麗より渡りしものなるにや」という説を述べ、ツクリのほうは、「粒栗の義か」としている。しかし、「コマ」は「細か」に通じ、「クリ」は回転を意味すると考えるのが、素直だと思う。コマックリというと、いかにもくるくる廻りそうだ。

『守貞謾稿』『嬉遊笑覧』の引用は、岩波文庫版(『近世風俗志(四)』(宇佐美英機校訂)、『嬉遊笑覧(三)』(長谷川強他校訂)より

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