我に向ひて光る星あり2016/10/12 21:10

真砂なす数なき星の其の中に吾に向ひて光る星あり
正岡子規

よい歌である。大好きだ。しかし、ふと思った。肉眼で見える星は、浜の真砂ほど多くなく、数なき(無限)などとは言えないぞ、と。

肉眼で見える星は、6等星までで、全天で9000個弱である(一度に見えるのはこの半分弱)。地球上の人口は70億人(7×10^9)ぐらいなので、ひとつの星あたり80万人ぐらいを「担当」していることになる。これは、多すぎるのではないか。

というわけで、以下、見えない星もあなたを見守るために動員されている、ということを考えてみた。

21等級までの星の数は、合計で約3×10^9個である(『理科年表 2016年版』)。理科年表にそれ以上の等級の記述はない。ハッブル宇宙望遠鏡で正確に観測できた最大の等級が21までだからだと思われる。ただし、単に観測可能ということであれば、さらに等級をあげることはできる。

星の等級と数
理科年表のデータから、等級と星の数をプロットすると、上の図のように、対数でも直線にならず、等級の高いほうでなまる。たぶん、「オルバースのパラドックス」とも関係する話だろうが、それはさておき、このグラフから、22等級は、おおよそ2×10^9個、23等級は、3×10^9個と見積もることができる。すると、23等級までの星の合計が、おおよそ8×10^9個となる。

よって、23等級までの星を割り振れば、ひとりあたりひとつの星があてがえる計算となる。そこまで暗い星でも、光子の個数レベルでカウントすれば、地上のあなたに届いているに違いない。

結論
「真砂なす数なき星の其の中に吾に向ひて光る星あり」(注:星は23等級まで含む)

以上の計算をして、ひとの数の多さを思った。そのひとりひとりがみな何かを願って、毎日を生きているというのは、途方もないことだ。

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