ペンギンパレード2015 Summer2015/08/03 19:31

参加アーティスト:出原速夫、鎌倉文也、坂崎千春、中村由利子、三谷慎、渡辺宏
期間:8/12(水)- 8/18(火)
場所:日本橋高島屋7Fクロスロード7
Penguin Parade 2015 Summer

ペンギン基金に参加するアーティストによる展示会で、ペンギングッズ満載のイベントである。このイベントに、知り合いの出原さんの誘いで、ゲストアーティストして参加し、大きな紙で折ったペンギンを展示することになった。一点のみの出品なのに、案内ハガキにも名前をいれていただいて恐縮である。

折紙探偵団コンベンションの日程と重なっているので、残念ながらわたしは行けないが、8月16日(日)には、中村由利子さんのミニコンサートもある。

質感に惹かれて、LKカラーという片面が黒いツヤの厚手の約80cm四方の紙で折ったのだが、これが大変だった。ツヤのある紙は、塗料の性質から破けやすく、何度も失敗した。自分で言うのもなんだが、無理のない構造なので、なんとかまとまった。大きいと存在感があるので、展示に送る前に、ペンギン像を世界のいろんな場所に置いて写真を撮る写真家・ウイリー・プフナーさんを真似して、写真を撮ってみた。田舎のペンギンと都会のペンギンの図である。
たたずむペンギン(折り紙)

大十二面体外殻・6ペスター組み2015/08/12 00:06

大十二面体外殻の6ペスター組み
多面体の折り紙をいろいろ考えていた過程で、変則用紙を用いた会心作ができた。
大十二面体外殻の6ペスター組みである。
ペスターというのは『ウルトラマン』にでてくる2体のヒトデが合体したような怪獣で、ちょうどこんなかたちをしている。なお、図の三角形は、36度36度108度の二等辺三角形である。

類似構造の正方形用紙6枚組もできたのだが、この構造は、ほんとうに無駄がない。
モジュールの突起は8つと偶数なので、上下上下上下上下と組める。

東京オリンピックのシンボルマーク(エンブレム)2015/08/18 19:53

世間では、東京オリンピックのエンブレムが話題である。折紙探偵団コンベンションへの参加やらなんやらで、ニュース情報の入力がやや薄くなっていたら、このエンブレム問題が泥沼というか炎上状態になっていた。ここまでいろいろケチのつくイベントも珍しいが、これからもっとありそうだ。

あのエンブレムそのものに関しては、ふだん幾何学的な図案に強く反応するわたしが、ほとんど関心を示さないので、妻が不思議そうにしていた。これにはまず、今回の東京オリンピック開催自体にマイナスの思いが強いことがあった。そして、エンブレムに関しては、幾何学的であるが「調和した図形」にはなっていないだろうな、というのが第一印象であった。3×3に分割した正方形とその格子点を通る大きい円と、右上の正方形に内接する小さい円が基本になっていることは、一瞥してわかった。そうであれば、作図はシンプルだが、大きい円と小さい円の結びつきは弱い図になるだろう、と考えた。

大きい円と小さい円の比は√10:1で、これはπ:1の近似(3.16...)であった。というわけで、3とπと√10の近似関係を示す図として面白いところがなくもなく、図そのものは算額(和算の絵馬)の絵みたいでもある。
例のシンボルマークの作図
例のエンブレムの作図

しかしそれよりも、今回のゴタゴタを受けて、トートバックで「BEACH矢印」を無断で使われたデザイナーのベン・ザリコーさんなど、「俺の」エンブレムをつくっているひとたちがいて、そちらのほうが面白そうであった。そこで、わたしもやってみた。

ほとんどのひとが見逃しているだろうが、五輪マークには、東京都のシンボルマーク(イチョウの葉のようなT)が隠し絵になっている。
東京都のシンボルマーク
東京都のシンボルマーク

そのネタをつかった図案である。都営地下鉄の案内とか都水道局の看板を見たことのあるひとにしか通じないだろうが、以下のように、プレゼンテーションの文体模倣をしてみると、もっともらしくなる。(ちなみに、都清掃局のマークもイチョウだが、かたちが異なる)
イチョウ+五輪シンボルマーク

オリンピックのシンボルマークの「五輪」と、東京都のシンボルマークの「イチョウの葉のT」の図案を融合させた。さらに、円弧の交わりが描く「双葉」を加えた。これは、ひとびとの「交流の芽生え」を意味する。これらが全体として「蝶」をかたちづくる。蝶は、多くの文化圏で「魂」あるいは、「復活と不死」の象徴である。東京に集うアスリートが、不屈の思いを持って、平和な世界の種を蒔き、そして羽ばたいていく、という願いを込めたシンボルである。

とかなんとか。イチョウの芽はこんなんじゃないし、蝶というより蛾である。まあ、蛾のほうが、モスラの来る国(かつての絹の国)ということで日本的である。とかなんとか。

(シンボルマーク→エンブレム に変更 8/19)

もやもやする図2015/08/20 22:32

例のエンブレム
例のエンブレムで使われている図を、もうすこし詳しく見てみた。3×3の格子点を通る大きい円に関しては、円弧が小さい正方形の対角線を黄金分割するという特徴がある。まず、これは面白い。

黄金分割とくれば正五角形なので、これを使って、正五角形と五芒星を描いてみる。すると、その頂点・交点のうちのふたつが、正方形に内接する小さい円の上に乗るように見える。

一見、おおっと思うが、図形好きならすぐにわかるように、これは近似である。対角線比1:√2の「武田菱」(70.05..°、109.47..°)が、「ペンローズタイル・ファット」(72°、108°)によく似ている近似である。

前のエントリにも書いたように、大きい円と小さい円の比の√10=3.16...もπの近似で、この正五角形と小さい円が結びついているように見えるのも近似である。

この図における大きい円と小さい円の関係は、一見して感じたように、微妙にずれている。この図は、この小さい円を描いたことで、すくなくともわたしにとって、もやもやと落ちつかない図になっているのだ。

折り紙講習の日々- そして、デューラーの多面体2015/08/24 23:45

土曜日は、国立天文台野辺山観測所の特別公開で、折り紙講習に明け暮れていた。
協力者のみなさま、お疲れさまでした。
折り紙電波望遠鏡

その1週間前は、第21回折紙探偵団コンベンションだった。何コマか講習をした中で、フクロウが一番たいへんだった。受講者が1回できれいに折るのは難しく、教室として成功したとは言えない。余計な折り目をつけずにきれいな曲面をつくることは、複雑な作品を折り慣れているひとでも苦戦するみたいだ。

このフクロウは、コンベンションのゲスト作家・ジャン・ディンさんの作風にちなんだモデルとして選んだ。ただし、自分の作風(明確な目安による幾何学的な構造があって、糊づけを使わない)の中にある。
フクロウ

デューラーの多面体の「新解釈」と、関連折り紙モデルの話もしたのだけれど、そのさいに、急遽『数学セミナー』最新号(9月号)の表紙連載(熊原啓作さん)のスイスの切手の話もいれた。
『数学セミナー』2015.9表紙

『数学セミナー』の編集者さんも含めて、だれも気がついていなかったようなのだが、この切手に描かれたオイラーの定理の説明のための多面体が、デューラーの多面体なのである。しかも(しかし?)、八面体ではなく、九面体なのだ。九面?! 

たしかに、対称性の高い立体であるという推定をはずせば、版画に描かれていない側に何面あるかは任意である。この着想はいままでなかった。デザインしたひとに意図を訊ねてみたい。

6枚組多面体、そして、「野キューブ(やきゅうぶ)」2015/08/29 09:42

ここ2週間ほど、正十二面体、正二十面体の6枚組をいろいろ試していた。その中からいくつかを紹介しよう。

Six-module-polyhedra
写真左上:正十二面体:1:2長方形×6:手順を減らすために近似の作図にしたが、よい感じでまとまった。
写真右上:正二十面体の亀甲組み:2:√3長方形×6
写真左下:正二十面体の巴組み:正方形×6:外側の見た目より、複雑な組みかたになっていている。
写真右下:正二十面体のバレーボール組み:1:√3長方形×6:正二十面体の6枚組は、バレーボールの革の張りかたと同じになっているので、3本のストライプをいれてみた。

「正二十面体のバレーボール組み」からの連想で、野球のボールの2枚組を考えた。2枚組としたのは、じっさいの野球のボールが、ひょうたん型の革2枚でできているからである。対称性から基本構造を立方体にして、正方形×3にひょうたん型を当てはめ、縫い目を描くことにした。組み合わせの安定のため「ベロ」をつけると、きれいにまとまった。単に糊なしの立方体の箱としても、よいモデルだと思う。名づけて、「野キューブ(やきゅうぶ)」。ギフト用などに使えそうだ。

野キューブ(ヤキューブ)

野キューブ(ヤキューブ)展開図
描いた「縫い目」の数は、じっさいのボールのものと同じ108個になっている。なお、縫い目模様の向きは、ふたつのパーツで鏡像である。『巨人の星』で有名になった野球のボールの縫い目の数だが、より時代をさかのぼると108ではなかったようで、この数になった来歴は不明である。しかし、野球は、3や4という数字に数秘術的にこだわったつくりのゲームなので、3の3乗×2の2乗である108は、野球のボールにふさわしい。

連日のイベント2015/08/30 22:30

昨日、宮島登さんと三宅直子さんの結婚披露パーティーに出席した。

各テーブルに新郎の折った、ハートを形づくる2羽の白鳥が飾られ、引き出物は、新郎デザインの「千鳥」の展開図を陶芸家の新婦が小皿にしたもの。新郎が大きな紙で作品をつくる(さすがに「死神」(宮島さん代表作)ではない)という「演し物」もあり、折紙者大満足なのだった。お幸せに。って、言わなくても幸せ満点なふたりだった。

白鳥(登・直子)

千鳥展開図小皿(登・直子)

そして今日は、「みずすまし」さんの誘いで、テーマが折り紙だった数学カフェというイベントに参加した。理系の院生さんたちが中心になったサロン的な集まりで、打てば響くようなひとたちばかり。これも、とても楽しかった。

「サイン・コサインがわかると豊かになります」(時事ネタ)
「わたしと共著論文を書くと、エルデシュ数が3になります」

この日の二次会では、ほんとうにひさしぶりのカラオケ。「みずすまし」さんの趣味だろうな。で、千葉紘子さんの『折鶴』を選曲して、受けをねらう前川おじさんでした。もう一曲時間があれば、ザ・クロマニヨンズ 『紙飛行機』という選択のつもりだった。