世間では、東京オリンピックのエンブレムが話題である。折紙探偵団コンベンションへの参加やらなんやらで、ニュース情報の入力がやや薄くなっていたら、このエンブレム問題が泥沼というか炎上状態になっていた。ここまでいろいろケチのつくイベントも珍しいが、これからもっとありそうだ。
あのエンブレムそのものに関しては、ふだん幾何学的な図案に強く反応するわたしが、ほとんど関心を示さないので、妻が不思議そうにしていた。これにはまず、今回の東京オリンピック開催自体にマイナスの思いが強いことがあった。そして、エンブレムに関しては、幾何学的であるが「調和した図形」にはなっていないだろうな、というのが第一印象であった。3×3に分割した正方形とその格子点を通る大きい円と、右上の正方形に内接する小さい円が基本になっていることは、一瞥してわかった。そうであれば、作図はシンプルだが、大きい円と小さい円の結びつきは弱い図になるだろう、と考えた。
大きい円と小さい円の比は√10:1で、これはπ:1の近似(3.16...)であった。というわけで、3とπと√10の近似関係を示す図として面白いところがなくもなく、図そのものは算額(和算の絵馬)の絵みたいでもある。
例のエンブレムの作図
しかしそれよりも、今回のゴタゴタを受けて、トートバックで「BEACH矢印」を無断で使われたデザイナーのベン・ザリコーさんなど、「俺の」エンブレムをつくっているひとたちがいて、そちらのほうが面白そうであった。そこで、わたしもやってみた。
ほとんどのひとが見逃しているだろうが、五輪マークには、東京都のシンボルマーク(イチョウの葉のようなT)が隠し絵になっている。
東京都のシンボルマーク
そのネタをつかった図案である。都営地下鉄の案内とか都水道局の看板を見たことのあるひとにしか通じないだろうが、以下のように、プレゼンテーションの文体模倣をしてみると、もっともらしくなる。(ちなみに、都清掃局のマークもイチョウだが、かたちが異なる)
オリンピックのシンボルマークの「五輪」と、東京都のシンボルマークの「イチョウの葉のT」の図案を融合させた。さらに、円弧の交わりが描く「双葉」を加えた。これは、ひとびとの「交流の芽生え」を意味する。これらが全体として「蝶」をかたちづくる。蝶は、多くの文化圏で「魂」あるいは、「復活と不死」の象徴である。東京に集うアスリートが、不屈の思いを持って、平和な世界の種を蒔き、そして羽ばたいていく、という願いを込めたシンボルである。
とかなんとか。イチョウの芽はこんなんじゃないし、蝶というより蛾である。まあ、蛾のほうが、モスラの来る国(かつての絹の国)ということで日本的である。とかなんとか。
(シンボルマーク→エンブレム に変更 8/19)
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