折鶴の絵2011/11/18 23:15

webちくま
筑摩書房のwebちくまにある、竹田嘉文さんのイラストの折鶴を見て、考えた。
雰囲気があって、かつ、かなり正確に描かれたよい絵なのだが、つぎのような疑問がわきあがったのである。

疑問:折鶴の下にあるのは折り紙用紙だろうか。重なった折り紙用紙だとすると、折鶴にくらべて小さすぎるのではないか。

解釈を試みた。(以下、なぜか、AとBの対話形式である)

A:折鶴の下にある四角形は、四枚重ねのように見える。これは、二回折り畳んだ折り紙用紙ではないのか。右下の頂点がもとの正方形の4頂点が集まった点とみれば、写実的な絵である。

B:それでは話が終わってしまうではないか。たしかにそう見えなくもないが、四頂点がそろいすぎていないか。ふたつ折りの繰り返しとすれば、紙の復元力でもうすこし半開きになるはずだ。左側がやや開いて見えるので、二回目の折りを右から左の折りとして、厚みのある素材と考えれば、右側の二重線は、もとの正方形の縁ではなく、厚みを示す陰影のようなものと解釈できないか。素材に厚みがあるとすれば、紙から離れて、たとえば、これは、畳んだハンカチと見ることはできないか。

A:折り紙用紙の標準的な大きさは15cm四方である。折鶴がその用紙からつくられていると推測すると、この「ハンカチ」も15cm程度と見積もることができる。しかし、ハンカチの標準的な大きさは、男物で40数cm、女物の最小サイズ(ティッシュペーパーとほぼ同じサイズ)でも20cmである。サイズがあわないので、その解釈は難しいだろう。

B:折鶴も赤いハンカチで折ったと考えるのはどうか。折鶴が立体的に広げられていないが、これは、紙と布の剛性の違い、つまりやわらかくて立体的にすることができないからではないか。

A:布では、くちばしの部分をこのように正確に折ることは、きわめて難しいだろう。

B:それはたしかにそうだ。そもそも、折鶴をふつうに折る場合、ふたつ折りを繰り返すような工程を使うだろうか。できなくはないが、きわめて特殊だ。これは、一見、重なった正方形の紙や畳んだ紙やハンカチのように見えるが、折鶴の折りかたが示された豆本なのではないか。つまり、右側の線は、背表紙の厚みである。筑摩書房がそういう本を出すのかもしれない。

A:いくらなんでも考え過ぎだろう。

B:いや、考え過ぎというのは、次のようなことをいう。
このページの他の絵は、ベッドで本を読む女性、ペットボトルの影に隠れる猫である。ペットボトルは猫除けになるという説があるが、あれは眉唾で、水が温まっていれば猫が湯たんぽにすることもあるだろうし、冷えていれば、熱っぽい猫が体を冷やすこともあるだろう。さらに、このボトルの中身は水ではなく、凍っているとも考えられる。なぜなら、女(ジョ)⇔書(ショ)、猫(ビョウ)⇔氷(ヒョウ)という対応が成立するからである。すると、鶴(カク)に対応するのはガクである。すなわち、重なった紙のように見えるこの四角形は、小さな額のようなものなのである。

A:みごとに考え過ぎだ。図像学のパロディーのようだ。もっと、折り紙に即した説はないのか。

B:この折鶴は、ただの折鶴ではなく、小さな紙をモジュールとして組み合わせてつくる、画期的なユニット折鶴なのである。下にあるのはそのモジュールのための小さい紙である。筑摩書房が、ユニット折り紙の女王こと布施知子さんの本を出している出版社であることを忘れてはいけない。

A:君は暇なのか。これは単純に、対角線の折り目が省略された、折鶴の途中工程、いわゆる「正方基本形」だと思えばいいのではないか。

B:なるほど…。暇なのかという質問には、そうでもない、と答えるしかない。やるべきことから逃避しているけれどね。

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