777と2750と17292009/03/10 20:46

 9枚のハノイの塔の最小移動回数である511は、2進法で1が9個並ぶ数(111 111 111)なので、コンピュータで使うことがある8進法では「777」になる。だからどうしたというわけでもないが、ハノイの塔の構造が棒が3本であることとも相まってきれいだなあと、心中でうなずいたわけである。そして、そこから連想して、こんなことを思いついた。
 8進法よりもコンピュータ業界でよく扱う16進法の場合、0-9以外の数字としてABCDEFを使うのだが、これを暗号やダイイングメッセージに使ったミステリはあるのだろうか、と。ネタ割れになるので詳しくは書けないが、似た例はなくもない。しかし、16進法のABCDEFで意味のある単語をつくるという例は、寡聞にして知らない。
 容疑者にアベというひとがいて、プログラマにしてパズル愛好家の被害者が、犯人に気付かれないように遺したダイイングメッセージが、53のルービックキューブに「×22」と書かれたものだった。じつはこれは、2750(=53×22)が16進法でABEになることを意味していたのである、なんてのはどうだろう。
 …あんまりたいした話じゃないな。わかりにくいし。

 というふうに、遊びの「数秘術」も好きなので、以前、自家用車のナンバーをどうするかでも悩んだ。最近、この数字はかなり希望が通る。コンピュータ業界で1K(1キロ)と言われる1024(210)や、1797(『千羽鶴折形』出版年)、0921(安倍晴明の生誕年にして、青森県の折紙山の標高)、10-11(阪神タイガースの永久欠番:23もそうで、吉田義男さんは好きだけれど、永久欠番にするほどではないと思う)も候補だったが、西暦や標高は「絶対的な単位」ではないので、いまひとつこれだという感じがなかった。1024もなんだかなあということで、最終的には別の数字(数学的に面白い数)にしたのだが、あとで、1729もよかったなと気がついた。車のナンバーに関係する数字だからである。これをナンバーに選んでいる数学関係者.数学好きは案外多いかもしれない。

 1918年のイギリス、2年後には32才で夭逝してしまう、療養中の南インド生まれの独学の天才数学者・シュリニヴァーサ・ラマヌジャンを、彼の「発見者」であり、イギリスでの庇護者・ゴッドフリー・H・ハーディが見舞った。そのとき、ハーディはこんなことを言った。
「タクシーのナンバーが1729だったよ。ありふれた数だった」
 これを聞いたラマヌジャンは即座に答える。
「そんなことはありません。面白い数です。ふたつの立方数の和となる数で、ふた通りのものがある、最小のものです」(1729=123+13=103+93
 夢の中で神からのお告げとして定理を見たという、ひと呼んで「インドの魔術師」ならではのエピソードである。
 ただ、1729は、7×13×19というきれいな並びの素数の積でもあり、さらに、10進法に依存するが、19×91という「対称性」もある。ハーディは、これらをふまえた上でありふれた数と言ったのであって、もっと面白い特徴もありますよとラマヌジャンが答えたというのが、じっさいにあったことなのだろうと思う。(さらに、ネットの検索で知ったのだが、1+7+2+9=19でもある。どんな数も面白い数であるということかもしれない)