この題名で、
『紙の動物園』の著者ケン・リュウ氏選なので、折紙者として読まないわけにいかない。表題作(ハオ・ジンファン著、大谷真弓訳、リュウ氏の英訳からの重訳)は、文字通り折り畳まれる北京の話であった。三種類の都市が、毎日、定時に折りたまれて交替する。物理的にどうなっているかは謎だが、奇妙な現実感がある。それぞれの空間は社会的な階層に対応しており、J.G.バラードの巨大高層マンション小説『ハイ・ライズ』をさらに寓話的にしたような設定である。
収録の全編は読んではいないが、中国のSF小説(科幻小説というらしい)が、これから力を持っていくのは、たしかに間違いなさそうだ。そして、中国の存在感の高まりは、SFに限らない。今秋オクスフォードで開催される7OSME(第7回折り紙の科学・数学・教育国際会議)でも中国からの参加が多いらしい。
◆切り紙の飾り・Papel Picado
ピクサーのアニメーション・『リメンバー・ミー』(リー・アンクリッチ監督)を観た。メキシコの死者の日の切り紙飾りが効果的に使われていた。Papel Picadoというらしい(訳すとそのまま「切り紙」)。そうした習俗があること自体を知らなかったが、奥三河の花祭りの「ざぜち」や、越後の「八丁紙」、三陸や櫛形(山梨)の「切子」に似ていて、面白い。Papel Picadoは、調べてみると案外新しいもので、20世紀になってから中国系移民によって持ち込まれた剪紙を起源とするらしい。
下の写真は、東栄町月地区の花祭りの「ざぜち」と「湯蓋 (部分)」である。前も疑問に思って解決していないが、「ざぜち」の語源って何だろう。
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