週末、兵庫県西脇市の
岡之山美術館で、「折り紙の宇宙 - かたちのアヴァンギャルド展」のアーティストトークに参加してきた。
参加者は、同美術館に作品を出品している4人、立体に拡張された版画をつくる版画家の木村秀樹さん、建築家・発明家の阿竹克人さん、墨と和紙の美術家・藤原志保さん、そしてわたしである。
岡之山美術館は、駅(JR加古川線 日本へそ公園駅)の目の前にあるのだが、電車が1日10回しか停まらない「秘境駅」である。何人か「観てきたよ」という連絡ももらっているが、みな「遠かった」と言っていた。
西脇市は、最近では、陸上の西脇工業高校で有名だが、播州織りで知られる北播磨の中心地である。そして、東経135度と北緯35度の交差点があることから、「日本のへそ」を名乗っている。東経135度と北緯35度といえば、何十年も前に読んだ松本清張氏の
『Dの複合』の強い印象があったので、これを機会に読みなおした。50年前の小説だが、清張さんのアンテナにあらためて感心した。数字狂なるものが登場し、それを説明するのに、イディオ・サヴァンの話などもでてくるのである(今日的には、人権的に問題記述もあるけれど)。
「この東経一三五度線は、その明石の北、西脇というところで北緯三五度線と交差している」
...
「いままでぼくたちが旅行したところが全部、北緯三五度、東経一三五度の線にはいってくる。浜中君、これは一体どうしたことかね?」
今回、片山象三市長など、市の関係者と話しているうちに、緯度経度の緯の訓読みが「よこいと」、経は「たていと」であり、135度と35度が交差する点で織物が盛んであるというのは「よくできている」ということに気がついた。個人的に「おっ」と思ったのだが、市のひとたちは先刻承知で、その話をつかった地域振興もあるらしい。中島みゆきさんの『糸』が相応しい街である。
最近のコメント