リンゴと数字とヒッチハイク2015/03/24 21:45

先日観た、映画『イミテーション・ゲーム』には、チューリングの死の床に齧りかけのリンゴがあったという有名な話がでてこなかったけれど、昨日最終回だったTVドラマの『デート 恋とはどんなものかしら』にリンゴが登場し、視ていて、深い意味もなく「チューリングか、チューリングなのか」とつぶやいたのであった。

チューリングのあのエピソードは、いかに「事実はフィクションより奇だ」と言っても、嘘っぽくなるということで、映画では採用しなかったのだろう。別の場面でリンゴを出していたのは、エピソードを知っているひとへの目配せかもしれない。なお、『イミテーション・ゲーム』をあえて手短かにまとめると、天才の孤独と、戦争の虚無と、差別の残酷を描いた、期待どおりの心にしみる映画だった。

さて、そのリンゴの出てきた『デート』だけれど、4つの数字から四則演算で10をつくる遊びも、重要な小道具になっていた。劇中の3478の組は、解けるとうれしい問題なのは間違いないが、お守りとなった特別なものを、なぜ、3748や8374という設定にしなかったのかには、ちいさな疑問符が浮かんだ。この遊びでは、順番を変えないで数式ができたほうがきれい、ということもあるからだ。

この「4桁の数字を見ると10をつくりたくなる」は、『理系あるある』(小谷太郎著)という本の「数学あるある」の一番最初にでてくるものでもある。著者の小谷氏はプログラムを組んで、解けないものが約20%あることを計算している。また、8115が、解がひととおりしかなく、よい問題であると述べる。たしかにこれは意外性のある式で10になる。なお、わたしは1199も好きだ。

4桁の数字と言えば、切符の番号の他に、車のナンバーがあり、渋滞のときなどにこのゲームをする。ちなみに、わたしの車の番号もよい数で、ちゃんと10になる。

話変わって、「車と言えば」ということなのだが、先週長野から東京に戻るさい、ヒッチハイクの青年を乗せた。
会話の中で「ゆとり世代といわれるぼくらのことどう思いますか」と問われ、
「最近の若いひと-すくなくともわたしの周りにいるひと- はまじめだ。わたしは、若いひとの脚を引っ張らないようにという思いが強い」などと答えた。

彼らの親の世代の発言として、貫禄がないこと甚だしいが、じっさい、そういう心境だ。邪魔になることはあるだろうけれど、せめて、新しい世代の脚を引っ張ることはしないように...と。