折り紙の宇宙@西脇市2015/03/16 12:40

週末、兵庫県西脇市の岡之山美術館で、「折り紙の宇宙 - かたちのアヴァンギャルド展」のアーティストトークに参加してきた。
参加者は、同美術館に作品を出品している4人、立体に拡張された版画をつくる版画家の木村秀樹さん、建築家・発明家の阿竹克人さん、墨と和紙の美術家・藤原志保さん、そしてわたしである。

岡之山美術館は、駅(JR加古川線 日本へそ公園駅)の目の前にあるのだが、電車が1日10回しか停まらない「秘境駅」である。何人か「観てきたよ」という連絡ももらっているが、みな「遠かった」と言っていた。

西脇市岡之山美術館

美術館は、磯崎新さんの設計による奇妙で面白い建築である。ピラミッドのような構造もあり(瞑想室!)、比率を測ってみたところ、どうやら立方体を6分割した四角錐だった。

なお、わたしは(今回も)ぼんやりしていて、日本折紙学会の案内パンフレットを配布してくるのを忘れてしまった。展示を観て、折り紙が気になったひとは、日本折紙学会の『折紙探偵団』の購読もどうぞ。

西脇市は、最近では、陸上の西脇工業高校で有名だが、播州織りで知られる北播磨の中心地である。そして、東経135度と北緯35度の交差点があることから、「日本のへそ」を名乗っている。東経135度と北緯35度といえば、何十年も前に読んだ松本清張氏の『Dの複合』の強い印象があったので、これを機会に読みなおした。50年前の小説だが、清張さんのアンテナにあらためて感心した。数字狂なるものが登場し、それを説明するのに、イディオ・サヴァンの話などもでてくるのである(今日的には、人権的に問題記述もあるけれど)。

「この東経一三五度線は、その明石の北、西脇というところで北緯三五度線と交差している」
...
「いままでぼくたちが旅行したところが全部、北緯三五度、東経一三五度の線にはいってくる。浜中君、これは一体どうしたことかね?」

今回、片山象三市長など、市の関係者と話しているうちに、緯度経度の緯の訓読みが「よこいと」、経は「たていと」であり、135度と35度が交差する点で織物が盛んであるというのは「よくできている」ということに気がついた。個人的に「おっ」と思ったのだが、市のひとたちは先刻承知で、その話をつかった地域振興もあるらしい。中島みゆきさんの『糸』が相応しい街である。

西脇市のノコギリ屋根
市内には、いまや見かけることが少なくなった、「ノコギリ屋根」も多くのこっている。かつて「工場」の象徴だった、自然光を多くとるための屋根で、「工場萌え」のひとにも面白い街だと思う。木村秀樹さんの版画作品は、このノコギリ屋根をモチーフにしていた。

播州ラーメンは食べ損ねた。