本の話など2015/03/13 23:44

『数学セミナー』
『数学セミナー』の表紙が大きく変わって、数学に関係ある切手についての記事になっていた。で、『数学の切手コレクション』(R.J.ウィルソン著)というニッチな(!)本があったはずと検索したら、数セミのこの記事を書いているのは、その本の訳者である数学者・熊原啓作さんなのであった。

そう言えば、わたしも、『季刊をる』に、折り紙が描かれた切手のことを書いたことがある。

数セミのわたしの連載『折って楽しむ折り紙セミナー』は、ありがたいことに続くことになったが、今号から趣向を変えて、展開図ではなく工程図にした。折り紙の作図問題的なたのしさを味わってもらえれば、と思う。初回は正八面体をもとにしたモデルだが、これは、これまでの2回の4月号も正八面体だったからという、著者以外にはどうでもよいこだわりに基づく。

『新しい折り紙の教科書』
宮島登さんの『古典から創作まで なつかしくて新しい折り紙の教科書』が刊行される。

『現象数理学の冒険 』
『現象数理学の冒険 』(三村昌泰編)の第7章は、「折紙技術の工学への応用」(萩原一郎著)である。

一般化
無神論、一神教、二神教(ゾロアスター教等)、多神教を、n神教(n>=0)という概念で一般化して、不変なものを見出すというバカなアイデアが浮かんだ。

『イミテーション・ゲーム』
13日封切りの映画、アラン・チューリングを描いた『イミテーション・ゲーム』が楽しみだ。チューリングと言えば、昨年読んだSF小説『オール・クリア』(コニー・ウィリス著 大森望訳)にもチューリングがでてきて、重要な脇役になるのかと期待して読みすすめたのだが、カメオ出演みたいなものでちょっとがっかりした。がっかりには、『オール・クリア』などの「オックスフォード史学生・タイムトラベルシリーズ」を手放しで好きになれないということも影響している(ウィリスさんの語りは抜群で、すばらしい小説家だと思うのだけれど)。理由のひとつは、わたしがタイムトラベルものに思弁的なアクロバットを期待しすぎるからである。そして、この作に関してはもうひとつ、空襲を耐えた先にあったのが廃墟以外何もなかった敗戦国の生まれなので、ロンドン空襲とVEデイ(ヨーロッパ戦勝記念日)という話を読んでも、「そうですか。VEデイですか。よかったですね」という感想を避けがたく持ってしまうからである。

チューリングが重要な役割で登場する『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇 ケンブリッジ 1939年』(コーラ・ダイアモンド編 大谷弘、古田徹也訳)も最近出版された。この講義の内容を大きなネタもとにしたであろう小説『ケンブリッジ・クインテット』(ジョン・キャスティ著 藤原正彦 、藤原美子訳)は、ウィトちゃんほんとうにこんな言いかたでこんなことを言うか?という、フィクションならではのもやもやがあったが、『講義 数学の基礎篇』は、講義ノートからおこしたものとはいえ、ウィトゲンシュタインやチューリングの声を写したものなので、そうしたもやもやは少なそうだ。しかし、気合をいれないと読み始められない本なので、積ん読になっている。