五角形の雪2011/05/14 21:54

五角の雪
 以前、このブログで、カップヌードルのデザインに五回対称の雪の図らしきものが使われていることを取り上げて、「残念」と書いた(五出ナル説、取リ難シ 翌日翌々日の記事もちょっと関連)が、名古屋大学理学部・大学院理学研究科広報誌『理』20号に、『五角形の雪は作れるか』(松本正和さん)という講演録を見つけ、意表をつかれ、面白かった。

雪は、六花ともよばれ、美しい六角形の結晶で知られていますが、雑誌やディスプレイのデザインでは、五角形や八角形の雪を見ることがあります。氷や雪の研究者は、デザイナーが描いた五角形の雪を見ると、「また間違った雪を描いている」と笑うのでしょうが、本当にこういう雪はありえないのでしょうか。我々の生活している環境では、たまたま雪は六角形ですが、遠い宇宙のどこかには、圧力や温度が違う環境があって、そこでは雪は五角形なのかもしれません。本当に、五角形の結晶をつくることはできないのか、あらゆる可能性を考えてみたいと思います。

と前振りをしたあと、準結晶(五回対称になりうる)の説明をし、水の準結晶は難しいが、メタンハイドレートなら、五回対称軸のある準結晶ができるかもしれないとして、最後は、以下のように結んでいる。

準結晶ハイドレートは、誰もまだ見たことがないものですから、それを理論で予測し、実験で実際につくることができれば大きな驚きです。氷が五回対称性をもつわけがない、という常識を打ちやぶることこそ理学の使命と私は考えています。

 メタンハイドレートは、水の結晶格子のなかにメタンを取り込んだ、燃える氷と呼ばれる物質である。たしかにその構造は、たとえばI型ハイドレートでは、五角形×12の十二面体と、五角形×12+六角形×2の十四面体を組み合わせた格子になっている。準結晶の期待が持てそうな構造だ。そして、松本さんの計算によると、きちんとした5回対称軸を持つ準結晶構造ハイドレートも準安定的な構造になるというのである。

燃える雪ということか…。

コメント

_ glauke ― 2011/06/20 00:39

私達はまだ雪の結晶は六角形しか経験したことがない、と考えると楽しいですね。

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