アンテナつきのラブレター2008/06/15 17:58

蝶
 触角のある蝶を無理のない工程でつくるというモチーフに突然かられた。図鑑的に正確と言えないところもあるのだが、すっきりとしたものができた。蝶をデザイン化、記号化するときに、触角(アンテナ)は外せないという感覚を持つひとは多いはずだ。幼児のちょうちょの絵も触角がついているし、蝶の別名・「胡蝶」の「胡」も、たしか、ひげということだ。しかし、折り紙の蝶では触角を省略したものが多い。それが、ちょっと物足りなかったというわけである
 むろん、触角は省略しても、蝶らしさは表現できる。また、別の特徴に注目することもある。たとえば、ナバホ族のあやとりの蝶は、螺旋状の口吻を強調している。たしかに、あのぐるぐる巻きも実に「蝶的」である。
 触角、口吻…。しかし、やはり、翅こそが蝶の蝶たる特徴である。これに関して、ジュール・ルナールの『博物誌』を見なおしていて、ちょっとした発見をした。
蝶。二つ折りの恋文が、花の番地を捜している。(岸田国士訳)
 『博物誌』の中でも有名な文章である。これは、蝶の飛翔動作、つまり、ひらひらと花から花という動きが、詩想の基本だとずっと思っていた。それも間違いではないだろう。しかし、あらためて挿絵(ピエール・ボナール)を見ると、蝶の翅のかたちがハート型にも見えるということに気がついた。このハート型が、恋文という連想を生んだという面もあるかもしれない。すくなくとも、ボナールの絵は意図的にハート型に描かれているのではないだろうか

第4回折り紙の科学・数学・教育研究集会2008/06/25 12:08

第4回折り紙の科学・数学・教育研究集会
 日曜日、第4回折り紙の科学・数学・教育 研究集会で、世話人をつとめた。今回も充実した内容で、川崎敏和さんが中心になって、折り紙の研究に関する投稿論文集の企画も動きだした。
 発表のひとつ・上原隆平さんの「複数の箱を作ることのできる展開図の研究」を紹介しておきたい。複数と言っても、現在見つかっているのは、2種類の箱が可能な展開図である。なお、これは、折り目が格子に沿っており、かつ立体は凸多面体であるという条件による。斜めの(自由な)折り目を許すと、3つ以上のものもある。ただ、それを計算機にのせて数え上げるのがたいへんなのは、想像に難くない。また、直感的には、格子に沿った折り目でも、凸多面体の箱(つまり直方体)という条件を外すと、3つ以上のかたちが可能であるような気もする。

「ぎっしり詰まった箱」他2008/06/29 12:28

「ぎっしり詰まった箱」他
 またもや、似たようなモデルですが。
 上:「賽は分けられた その3」 正方形2枚。最初の比率の折りだしがすこし難しいけれど、予定調和的な構造にうっとりしてしまった。
 下左:「三分一升その2」 正方形1枚。高さを1とすると、幅は√2、したがって、直方体の体積は2、凹んだ部分の体積は2/3で、その比率が3対1になる。「三分一升」のお仲間。
 下右:「ぎっしり詰まった箱」:1対√2長方形6枚。閉じるとただの立方体になる。 こちらは、「何も入らない箱」のお仲間。

「体積のない立方体」他2008/06/29 12:29

「体積のない立方体」他
 さらに、似たようなモデルですが。
 左:「体積のない立方体」 正方形1枚。閉じた空間がないので、体積がない、ということである。角錐のくぼみが6つになっている。
 右:「デュアル・ディアボロ・キューブ」 1対√2長方形2枚。側面のかたちをディアボロ(輪鼓)に見立てて、デュアル(ふたつの)と韻を踏んで(?)みた。

一千羽鶴2008/06/29 17:01

一千羽鶴
 知り合いが出展していることで、妻が行った「2008ARTOY」(東京銀座画廊、今日6/29で会期終了)で、面白いものを見つけてきた。
 峰田順一さんの作品(松本剛さん原案との注釈あり)の「一千羽鶴」なるもので、999羽の折鶴がプリントされた正方形である。これで一羽の折鶴を折るだけで、千羽鶴になる。
 このデザインでは、右上が空白になっているけれど、999=32×32-5×5 という美しい数式を強調するために、背中が空白になっても、中央に5×5の空白を置きたくなった。
 なお、峰田順一さんのページ・ミネットの作家雑貨も面白い。