◆電気羊の夢
映像の中の折り紙といえば、イギリスで以下の会話があった。
「映画の『ブレードランナー2049』にあなたのモデルがでてきたね。羊。なぜか角を内側に折り込んであった」
「はい。あれは、許可なしでした。連絡なしです」
「....信じられない」
立場(折り紙コミュニティの中にあって、作品の知的財産権を主張しなければいけない)的には、もっと気にしないといけないのだが。
読心術や雪の中で消える足跡など、クラシカルな探偵小説だが、登場人物の心情描写などは現代的で、警察小説、サイコ小説の側面もある。その小説に、本筋とはまったく関係ないのだが、折り紙がでてきた。
ガーニーの母親にはアーティスティックな傾向があり、ペーパーマシェの造形や幻想的な水彩画、折り紙などの趣味の世界で、豊かなイマジネーションを発揮していた。
こういう描写を見ても、折り紙が彼の地で定着した文化であるのがわかる。なお、ペーパーマシェ(パピエ・マシェ)というのは張り子細工のこと。「張り子細工」と訳すと、雰囲気が変わる。この本には、「フレンチ・ドア」という表現もあった。これを「観音開き」にしなかったのもよくわかる。しかし、「Origami」は「折り紙」。
ペーパーマシェというのも、英語とフランス語の折衷(フランス語ならパピエ・マシェ)だが、この本の解説に、英米でも、Honkaku mystery という言葉が使われているという話が載っていた。謎解きを中心に据えたミステリにはPuzzlerという言いかたもあったけれど、ニュアンスが微妙に違うのだろうか。すでに一般名詞となっているOrigamiと合わせて、Honkakuも「外来語」化すれば、『本格折り紙』がそのままで意味が通じる日も近い。なんて。
ちなみに、『本格折り紙』英語版の『Genuine Origami』は、「本格」の訳語はなにがよいだろうかと、うーんと考え、デビッド・ブリルさんの『Briliant Origami』からの連想もあって、わたしの名前の淳(ジュン)の音と意味を込めるということで決めたものである。
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