以前、空を撮った写真を180度回転させると、宇宙空間から撮った地球の写真のようになるという話を見た。この写真は、それを試してみたものだ。上がそのままで、下が180度回転させたものだ。たしかにそうなっているように見えなくもない。
これは、「クレーター錯視」の一種だと思われる。クレーターの写真を180度回転させると、凹みが山に見えるという錯視だ。クレーターの場合、その錯視の要因は主に陰影によるものだが、空の写真の場合はそれとは異なる。その理屈をすこし考えてみた。
空は、視点を中心にした球面の一部分として目に映る。目だけではなく、標準レンズでもそのように映り、広角レンズならなおさらである。まずは、雲の連なりなどから、球面座標を自然に読み取るのだろうと考えられる。それを上下逆にすると凸に見えるということだが、ここが簡単ではない。
球面を「自然」に読み取るとして、その座標だけを描くと、図のようになる。
180度回転させた図の下は、下側への半球を中からみた図であると認識しても不思議ではない。ただ、ここで注意すべきなのは、そのような画像を見る機会はないということだ。空は上にあって、巨大な凹面を見下ろすということは、まずない。いっぽう、現代人は、宇宙空間から見下ろした地球の画像というものを見慣れている。上下反転させた空の画像は、それにあてはめて、中心が凸になったように見えるのではないか。
つまり、これが凸に見えるのは、類似の画像を見慣れたことにもよる、とも考えられる。となると、以前、
このブログに以前書いたポオの『軽気球夢譚』にあった、高空からは地表が凹面に見えるという現象も、じっさいにある(あった)ような気もしてくる。
下の写真は、野辺山宇宙電波観測所にある日本初の電波望遠鏡(1949)のレプリカをいれて空を撮ったものである。上下反転させると、人工衛星からの画像のように見えなくもない。
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