先日、ガレージセールで、ふたつあわせると球状になるガラス鉢を買った。一個づつに値札がついていた(安かった)ことからも、ふたつで球になるということに売主は気がついていないようだった。単品でも自然なかたちになっているので、気がつかなかったのも無理もない。
接合部の波型はぴったりと合うが、組んださいの切頂二十面体(サッカーボール多面体)の模様にはギャップがある。36度回転させて、五角形と五角形を向かい合わせにしたほうがきっちりする感じもある。
◆10^4分の1のオーダー
「逆に言えば」という表現の校正から、数学誌の編集者さんと、気になる表現の話題になった。彼は、「万に一つ」がほんとうに確率が10^-4くらいのオーダーなのかが気になるということだった。
わたしにはその感覚はなかったが、「次元が違う」が気になるのは同じだった。4次元以下のトポロジーを専門とする数学者による「わたしの研究は次元が低いですから」という定番のジョークもあるらしい。じっさいは、ポアンカレ予想(定理)のように、多様体の次元は3次元が難しい。
◆シリンドリカルレンズ
アルバムをつらつら見ていたら、円柱レンズの座標変換をきれいに示す写真があった。水平面に「座標が描いてある」のがミソである。「レンズ」の外では、右から5本目の赤い線にテーブルの端があり、屈折像では、中心から左に5本目にテーブルの端がある。つまり、左右が逆転していることが見て取れる。
◆同じ木からの葉
これも、ちょっと前のアルバムの写真である。1本の木から落ちた数葉の葉で、これだけのバリエーションがある。
◆つめた〜い
1ヶ月ほど前、京都の宿で見たものである。ほんとうに冷えているのか、買って確認しようと思ったがやめた。
◆直交3軸6枚組みユニット折り紙
直交3軸6枚組みユニット折り紙をいろいろと試しているが、これには、まだまだ鉱脈がある。下の右端(ケルビンの十四面体骨格)は、川崎敏和さんの立方八面体の骨格モデルと類似したモデルだが、きわめて単純なパーツ(座布団折りした正方形が基本)にコロンブスの卵の味わいがある。
◆(5+2√3)/6=1.4106...≒√2
上の近似をつかった、3枚組の正八面体ができた。構造として使うのは、2+√3:3の長方形であるが、√3≒7/4、√2≒17/12を使って、無駄な折り目がでないのがよい。
◆ラング・ラングドン・ラングランズ
すこしづつ読んでいた
『数学の大統一に挑む』(エドワード・フレンケル著 青木薫訳)を、先日、読み了えた。
まず、瑣末だけれど、273ページに誤植があった。√3/2の根号が全体にかかっているが、これは3だけにかかるものだ。
著者フレンケルさんの、波乱に満ちた半生と、その数学研究の概要が語られる、中身の濃い本である。彼の導きの星は、数学における統一理論とも言われるラングランズ・プログラムなるものだ。数学史における「プログラム」といえば、フェリックス・クラインによる幾何学の統一のためのエルランゲン・プログラムがある。クラインは、『正20面体と5次方程式』で、幾何と代数も結びつけている。『正20面体...』は
翻訳も出ている(関口次郎、前田博信 訳)ので、きちんと理解したいと思ってはいるのだけれど、ハードルが高い。
というような「プログラム」の話と、誤植の話で思い出したことがある。以前読んだ
『数学で生命の謎を解く』(イアン・スチュアート著 水谷淳訳)についてである。同書に「一九〇八年には、フランス人数学者のシャルル・エルミートが、正二〇面体の幾何を使って五次の代数方程式を解く方法を発見した」と書いてあったのだ。これは、上記の『正20面体と5次方程式』ことと思われる。つまり、「ドイツ人数学者のフェリックス・クライン」の間違いだ。
ラングランズ・プログラムに関連しては、今年の年賀状の笠原邦彦さん(折り紙作家)のコメントが面白かった、という話があるので記しておきたい。
「ロバート・ラング、ロバート・ラングドンという似た名前の2人を知っていましたが、昨年は又一人、ロバート・ラングランズなんていう名前を知りました。別に何の意味もありませんが、ちょっと愉快でした。」
笠原さんのアンテナ感度をさすがだなと思ったわけである。ちなみに、この3人の概要は以下である。
ロバート・ラング:折り紙作家、研究者
ロバート・ラングドン:宗教象徴学者という設定の、『ダヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)などの主人公
ロバート・ラングランズ:数学者、ラングランズ・プログラムの提唱者
ロバートまで揃っているところに、フルハウス感がある。この名前の対応から、折り紙と象徴学と数学を対応づける試みを、ラング・ラングドン・ラングランズ・プログラムと呼ぶのはどうか。どうかって、どうもこうもないけれど。
◆春だ
先週金曜日の、国立天文台(三鷹)構内である。草の上にも花は降り注いでいるのだが、道だけが薄紅に染まっていた。
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