読んだ、読んでいる本から2009/07/20 16:45

 『自然界の秘められたデザイン-雪の結晶はなぜ六角形なのか-』(イアン・スチュワート著 梶山あゆみ訳)を読んでいる。著者は、スチュワートではなくスチュアートと表記されてきたが、作家のデニス・ルヘイン(レヘイン)さんなどの例もあり、そういうことは珍しくない。まあ、それはよいのだけれど、邦題はちょっと…と思った。原題は、『What Shape is a Snowflake ?』で、雪の結晶はなぜ単純な正六角形ではないのか、という意味が含まれている。そこが主題であるとも言える。訳者ではなく、営業関係者が決めたのだろうなあ。

 『ケプラーの八角星-不定方程式の整数解問題-』(五輪教一著)と、『自然の中の数学 下』(J.アダム著  一樂重雄、一樂祥子訳)という本は、読むというより、ぺらぺらめくっている。前者には、『はじめての多面体おりがみ』(川村みゆき著)が参考文献にあげられ、布施知子さんの名前も見えた。数学教育で折り紙が使われているのを知ると、うれしくなる。

 並行して本を読むのは、あまり褒められたものではないけれど、『伊勢神宮-魅惑の日本建築-』(井上章一著)も読んでいる。こちらは、内容と同時に、(井上章一さんの本を読むときはいつもそうだが)書きっぷりが気になっている。井上さんは、漢字を仮名に開く率がめっぽう高い。あらわす、とめる、のこす、というような「やまとことば(?)」には、漢字はまず使われず、「じじつ」とか、「いっぱんに」などの副詞的用法での漢語もほとんどが仮名だ。やり過ぎの気もしなくもないけれど、嫌いではないし、読みにくくもない。わたし自身、いま校正している文書で、「じっさい」を「実際」になおされたのだが、「じっさい」のままにしてもらおうかなと思った。

 そして、昨晩は、これらの本を中断して、『宵山万華鏡』(森見登美彦著)を読んだ。まさに数日前が、京都祇園祭の宵山だった。わたしは行ったことがないが、折り紙の友人であるオーストラリア人のGさんはリピーターで、「アノフェスティバルハタノシイデス」と言っていた。『宵山万華鏡』ほどの幻想的体験は起こりようもないが、日本人でもエキゾチックな非日常感覚を満喫できそうな祭りで、行ってみたい。ただ、わたしの知る限り、紙による造形に関しては、あまり珍奇な、というか独特のものはない。