月刊『みすず』など ― 2020/07/04 22:44
先週、美術大学のリモート講義で、非常勤講師をした。講義のアウトラインは、折り紙造形における黄金比の話とした。講義の準備で「ゴールデン・ボックス」という黄金比を使った作品をあらためて検討しているうちに、山折りと谷折りを変えるだけで、薔薇のような模様ができることに気がついた。組むのはパズルだが、面白い。

タイガースファンは、プロ野球が始まってむしろストレスが増えたと言っているらしい。しかし、無観客ゲームで練習のような感覚もあり、まあこんなものかと、思いの外ストレスは低い。ただし、パ・リーグ最下位のバファローズの勝ち星の数は気になって、「今日のオリックスくんはどうかなあ」とチェックをしている。

たのしみは常に見なれぬ鳥の来て軒遠からぬ樹に鳴きし時
たのしみは人も訪(と)ひこず事もなく心をいれて書(ふみ)を見る時

かはるがはる蜂吐き出して釣鐘草 島村元



ブックデザインなど ― 2020/06/21 10:18
『宇宙と素粒子』(千夜千冊エディション)(松岡正剛)の装幀に、作品を提供した。

折り紙による幾何の問題を思いついた。自分で考えたいひとのために、解答は「シール」で隠しておく。


先日、眼鏡が破損してつくりかえたが、今度は、スマートフォンの画面に盛大にひびがはいった。木製の床の上に1mぐらいの高さから落下し、それほど強い衝撃ではなかったと思うのだが、条件が重なったためか、みごとなひびになった。

日食と角香箱 ― 2020/06/16 21:54




とりとめのない話 ― 2020/05/24 16:41

最近、ずっと職場(観測所)の近くにいるのだが、二地域居住者なので、車のナンバーは県外だ。これへの差別(!)を不安に思うひとのために、当地の自治体が、車に表示する「在住カード」を用意した。親切だが、それが必要となる世間というのは、なんだか息苦しい。
隣家に、クラリネットのソリストが住んでいる。いまは、商売あがったりで、雌伏の状態だが、先日、その家から、モーツァルトのクラリネット協奏曲の練習の音がかすかに聞こえてきた。得した気分になり、しばらく家の外に出て聴いていた。昨今の自粛生活では、近隣の騒音トラブルもあるというのに、わたしはなんだか恵まれていて、大好きな曲の生演奏にうっとりしていた。

5/17の『朝日中高生新聞』と、5/21の『朝日小学生新聞』で、『折る幾何学』が紹介された。電話取材と写真および図の提供であった。合目的的には、こういう取材で充分で、いままでの取材や会議でじっさいに会っていたのはなんだったのだろうと、この世相の中で、あらためて思う。ネットでのやりとりのほうが、言いたいことがうまく伝わることさえある。しかし、ひとに会うというのは、気が重いこともあるが、目的の決まったなにかのためだけではなく、きっかけであり、気分転換であり、そこから派生することが重要な場合もあるのを忘れてはいけない。
毎年NYで行われるOrigami USAのコンベンション(大会)が、テレビ会議システムをつかったunconventionとして開催されるという。unconventionという名詞は辞書にはないが、convention(大会、集会)という単語には「しきたり」という意味もあり、それの否定の形容詞化であるunconventionalという単語は、「慣習に従わない、型にはまらない、風変わりな」といった意味を持つ。ネイティブか英語に堪能でないと思いつかない、洒落た言葉遊びだ。より説明的には、unconventional conventionだろうか。いつも通りではない大会。
『日本国憲法』第二十五条は、個人にたいして生存権(「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」)を保証し、国に「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」ことを義務づける。思い出すのは、次の、福祉のパラドクスだ。
1665年、英国でペストが蔓延し、ロンドンだけで死者の数が3万人を超える惨状となった。ケンブリッジの各カレッジも閉鎖され、トリニティ・カレッジを卒業したばかりの23才の青年アイザック・ニュートンは、故郷ウルソープに帰ることになった。彼は2年間ひきこもって、ひとり研究に没頭し、科学史を塗り替える、というよりも、近代の扉を開く革命的な業績、すなわち、微積分、光に関する理論、万有引力の法則をつくりあげた。
とは言え、感染症の流行や戦争が、個人史に与える影響は大きい。『カルカッタの殺人』(A Rising Man、アビール・ムカジー著、田村義進訳)というミステリを最近読んだのだが、これはたいへんよくできた近代歴史ミステリで、物語の背景にスペイン風邪もでてきた。主人公が、インドに赴任したばかりの元スコットランド・ヤードの警部なのだが、第一次大戦の従軍と、スペイン風邪で妻を喪ったトラウマの中にある、という設定なのだ。舞台となる年は1919年である。
スペイン風邪と言えば、柳田國男による、1920年の夏から秋の旅行の記録をもとにした『雪国の春』には、お盆の切子灯籠に関して、以下の記述がある。
…
正月十九日。病床万一の事を慮りて遺書をしたゝむ。
…
正月廿二日。悪熱次第に去る。目下流行の風邪に罹るもの多く死する由。余は不思議にもありてかひなき命を取り留めたり。
正月廿五日。母上余の病軽からざるを知り見舞に来らる。
…
正月卅一日。病後衰弱甚しく未起つ能はず。卻て書巻に親しむ。
妖怪転じてヒヨコとなる ― 2020/05/04 16:15






Unfolding the Mystery of √2 ― 2020/04/20 21:28


風ひかぬ魘(まじない) ― 2020/04/18 20:39


オンライン例会(日本折紙学会)など ― 2020/04/12 21:21
4/18(土) 14:00-17:00、日本折紙学会が「オンライン例会」を企画しました。
Mathematician (数学者)ならぬ、Mathemagician(数学の魔術師)こと、ジョン・ホートン・コンウェイさんが、新型肺炎で亡くなったというニュースがあった。うーん。高齢ではあったけれど。
このパンデミックの中、人口密集地での通勤がなく、生活圏の半分が僻地で、リモート作業の環境もあるというわたしは、きわめて恵まれている。緊迫感がまだ薄い2ヶ月前に参加した会合でも、異なる集団をつなぐハブになる恐れもあることから、若干浮いているぐらいに用心深い態度を取ったが、そのような振るまいができたこと自体、つまりは、恵まれていたからである、といまになって思う。
あやめなど ― 2020/04/08 22:35


ステイ・アット・ホームのみなさまに図を提供します。正方形から三弁の花を折るトリッキーなところが気にいっている作品です。入手可能な書籍には載っていないものです。
小鳥など ― 2020/03/20 16:09



瀬名秀明さんの「折り紙小説」『この青い空で君をつつもう』の文庫版が出た。解説は西川誠司さん。わたしにもすこし触れられている。この小説でもナマズが活躍するよ。
2年ぐらい前に出たのに気がついていなかった、折り紙を扱ったライト・ノベル『折紙堂来客帖 折り紙の思ひ出紐解きます』(路生よる)を読んだ。参考資料に『折るこころ』(龍野市立歴史文化資料館、1999)があるのがポイントが高く、折り紙の扱いがきちんとしている。テイストとしては、最近のアニメーション版の『ゲゲゲの鬼太郎』みたいな感じ。
3/7(土)テレビ東京『新美の巨人たち』は、吉澤章さん。よくまとまっていた。吉澤さんが、幼少期に、壊されてしまった折り紙の船をつくりなおしたというエピソードは、聞いたことがあったような気もするが、「帆掛け船」より「宝船」のほうがそれらしい気がした。真相は知らないけれど。
感染されるのを恐れるより、感染していると仮定して感染させないように振る舞うとよい、と述べているひとがいて、これには納得した。なんとなく『マタイによる福音書』の「汝の隣人」を連想したが、今回の感染症は無症状感染者が多いということからも、合理的だ。

最近あった、幾何学好きのひと同士の会話である。(記憶で書いているが、実話である)
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