最終日の全体公演の舘知宏さんは、才気が全身からあふれるように颯爽としていた。折り紙は既にユニバーサルだし、日本がどうのはないのだけれど、舘さんと三谷さんという若く優秀な研究者が近くにいるというのは、たいへんありがたい。
今回概要を知った研究もいくつか。思いついたものをふたつ。
チェアを務めた「剛体折り紙その1」セッション(といっても、この発表は曲線折りを扱ったものだけれど)での、最小作用によって「自然な」曲面を決めるジェイコブ・バジャーさんらの研究。曲線折りは、折り目だけを決めても、拘束条件がないと自由度が高く、母線の選びかたも任意性が高い。それをエネルギーがミニマムになるように決める。錐面になりそうなものが、接線曲面になるというのは、直感にも合っていて、結果がきれいだった。
作図セッションでの、アダム・ウォーターハウスさんによる、折り紙作図を、誤差の観点で見る話。折り紙コミュニティーに直接関係する萌芽的な研究として面白かった。誤差の蓄積はどうなるのかなど難しい問題が多いけれど、そもそも、折り紙を折るときに、点を合わせるのがよいのか、線を合わせるのがよいのか、じっさいの紙では厚みをどう逃すかなど、折紙者ならみな経験的に持っているノウハウは、案外言語化されていない。厚みを逃す話では、厚みのある剛体折りの話題もいくつかあったし、初日の講演セルジオ・ペレグリーノさんの大面積構造物の折りたたみのために、折り目にスリットをいれてしまう方法(KIRIGAMIと呼ばれている)も関連している。
工学系、応用系の発表は、セッションがパラレルになっていて、ほとんど聴き損ねた。
サイエンスとアートを結びつける仕事をしているマシュー・ガーディナーさんなど、旧知のひとにも会って(何人かは、顔と名前が結びつかなくて失礼なのであった)、充実した会だった。
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