『日記の虚実』-葛原勾当日記2011/04/03 22:40

 3/16のブログに、『戦中派不戦日記』(山田風太郎著)のことを書いたが、それ以降、『同日同刻』(山田風太郎著)や『彼方より』(中井英夫著)、『断腸亭日乗』(永井荷風著)、『東京焼盡』(内田百けん著)など、戦時中の日記の数々を読みかえしている。どうも、そういう心持ちなのである。
 昨日は、ひさしぶりに大型書店に寄ったので、『暗黒日記』(清沢洌著)も探したのだが、これは、版が切れていた。そのほか、最近手に取る本は、書庫の奥から引っぱり出した、原子力問題、放射線、地震関係の本ということになっている。

 さて。読み返していた本の一冊である『日記の虚実』(紀田順一郎著)の中に、『葛原勾当日記』のことがでていることを見つけた。

 葛原勾当は、幕末から明治初期に生きた盲人の箏曲家だが、近年、本人の折った折り紙作品が発見されたこともあって、折り紙の名人としても再注目されているひとである。『日記の虚実』初読時(15年ぐらい前)は、勾当と折り紙と結びつけていなかったので、気にとまらなかったのだろうが、同書中にも「稽古をつけながら手持ち無沙汰をまぎらすために折り紙をして」という記述があった。
 なお、日記は木の活字を使って記されたもので、勾当の遺品である工夫された活字セットに触れたヘレン・ケラーが、「これこそ東洋のタイプライターです」と感動したというエピソードがある。