五角形コレクション2009/01/11 12:03

五角形コレクション
 正五角形と五芒星(ペンタグラム)は、ピュタゴラス教団や陰陽道において重要な図形とされ、黄金比・準結晶などとも関わる図形だ。日常的にはそんなには遭遇しないかたちなので、見つけるとおおっと思う。それらの中から数点を紹介しよう。

・長野県佐久市(旧臼田町)にある龍岡城。知るひとぞ知る「もうひとつの五稜郭」である。函館のものよりずっと小さく、訪問したのは随分と前だが、資料室も整備されたようなので、また行ってみたい。

・鉄道用の信号。これを造っている工場に、正五角形の部品が山積みされている光景を想像して、なんだかわくわくした。

・長崎市の水道栓の蓋。長崎の市章は、「草書の「長」をデザインし」た五芒星の中に「鶴の港を象徴して折り鶴の形を星状に配し」たものなので、長崎市内を散歩していると、マンホールなどで五芒星をよく見る。なお、紋章の図形は折り鶴には見えず、ほんとうに折り鶴なのだろうかという疑問もある。諸説はあるが、長崎港がそのかたちなどから「鶴の港」と呼ばれている(た)のはたしからしい。

・ヒトデ:西山豊氏は、『人とヒトデとサッカーボール』という本の中で、植物や腔腸動物に5回の回転対称性が多い理由として、胚分割初期の32分割(2の5乗)の32という数が、五角形と六角形からなるサッカーボール多面体の面の数に一致していることに関係しているのではないかとの大胆な仮説をたてていた。面白い話ではある。

・近所に残っていた以前の東京ガスのマーク。3×3の升目を塗り分けてTとGを示す、いまのマークも嫌いではないが、旧マークはよいマークだったなあ。

コメント

_ sano ― 2009/01/29 00:01

正五角形の話、興味深く拝読致しました。
よく訪れる、法隆寺の百済観音像(7世紀半ばに日本で造られた説が有力)の台座(框座)の形が、ほぼ正五角形です。
陰陽道と関係してるのかもわかりませんね。
また、法隆寺には、万字崩しの高欄もあります。
飛鳥時代建立の建築物を、幾何学的な観点から検証しなおすと、また新たな発見ができるかもわかりません。

_ maekawa ― 2009/01/29 01:45

 法隆寺といえば、正五角形と関係の深い黄金比(2:1+√5)よりも、白銀比(1:√2)が多く見られることがよく知られていますね。
 中門の柱の配置、(講堂と繋がってわかりにくくなっていますが)回廊の縦横比、そして、(じっさいに平面図で計ってみると、裳階・外陣・内陣のどこで計るのかにもよるのですが)金堂の縦横比など。これらが、白銀比です。
 さらに、夢殿。夢殿は正八角形ですが、正八角形は、最も短い対角線(ひとつおいた頂点と頂点を結ぶ線)と最も長い対角線(向かい合う頂点を結ぶ線)の比率が白銀比になる図形です。いわば、正方形(辺と対角線が白銀比)や、白銀長方形の仲間と言えます。
 正方形(五重塔)と白銀長方形(金堂)が白銀長方形の枠(回廊)の中に並び、少し離れて、正八角形(夢殿)があるというのは、まさに明日香の地に描かれた幾何学と言えるでしょう。

とか書きながら、わたしは、中学の修学旅行でしか本物は見たことがないのでした。
行ってみたくなってきました。
 (参考:『法隆寺の謎を解く』(武澤秀一著)、宮崎興二さんの著作など)

_ sano ― 2009/02/01 00:23

ありがとうございます。
是非、冬の法隆寺へお越し下さいませ。
冬の午後2時すぎ、大講堂から中門(南)に向かって五重塔・金堂を
眺めた景色、西院・西回廊連子窓に差し込む光と影・・・をみていると、
心が飛鳥時代までタイムスリップします。
五重塔、金堂それぞれの建物の美しさと、それらが並んだ非対称の美しさにみとれてしまいます。

追伸:
おいでになる機会がありましたら、斑鳩町法隆寺iセンターにもお立ち寄りくださいませ。
2階には、故・宮大工西岡常一氏縁の大工道具などの展示があります。
1階には、少しですが折紙作品を展示しています(前川氏の孔雀、川崎氏のトカゲ、笹出氏のツル星人、グーベルゲン氏のユニット等)。

_ sano ― 2015/05/14 16:37

光陰矢の如し
正五角形のことでコメントして、はや6年以上の日が過ぎていました。
この間、ずっと百済観音像の框座がなぜ五角形なのか考えていました。
本当のところの正解は永遠の謎ですが、自分なりに納得出来る答を見つけることが出来たので、終止符を打とうと思います。

それは、百済観音像の名称は虚空蔵菩薩像で、(宇宙の全てのように広大で、無量の福徳と知恵を与えてくれる菩薩)、像をみていても、この菩薩がとんでもなく大きいことがわかります。
框座の上は15弁(複弁)の蓮の花弁で装飾されています。
五角形については星型を表したのではないかと考えました。
一筆書きで五芒星を描き、その頂点を結んで出来る形が框座の原型ではないかと。
宇宙のように壮大な菩薩像と空の星、地上の蓮とを合体させたのではないかと。

奈良時代の七角についても新発見がありました。
また、コメントしたいと思います。
よろしくお願いします。

_ maekawa ― 2015/05/16 10:33

ある種の幾何学的な呪術というか、さまざまなことを象徴させているということは、たぶん、あるのでしょうね。

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