Unfolding the Mystery of √22020/04/20 21:28

4月11日に新型コロナウイルス感染症で亡くなった、天才数学者・ジョン・ホートン・コンウェイさんについては、4月12日の書き込みでも触れたが、彼が、リチャード・K・ガイさんと共に書いた『数の本』(『The Book of Numbers』1996、根上生也訳)という、数学のたのしさを伝える本がある。(なお、なんと、ガイさんも、今年の3月9日に、103歳で亡くなっていた。新型コロナではないけれど)
『数の本』

この本では、√2という数が無理数であることの説明に、折り紙が使われている。
(これを知ったのは、『本格折り紙√2』を書いたあとだったので、同書では触れることができなかったのはすこし残念であった)。

正方形の辺と対角線の比率が、12対17という整数比だとする。これを図の右のように折る。すると、ちいさな直角二等辺三角形が現れる。これの短辺と長辺の比率も同じになるはずだが、そうすると、17/12 = 7/5ということになってしまう。
同様に、別の整数aとbをおいても、異なる整数の比で表せることになって矛盾が生じる。これはつまり、整数比では表せない比率なのである、という話だ。きっちりとした証明にするには、さらなる工夫が必要だが、ほかで見たことがない説明が面白く、折り紙をつかっていることがうれしかった。

ちなみに、根上さんの訳文では「折り紙を使って説明できます」となっているが、残念ながら、原文には「Origami」という単語はなく、直訳すれば、「√2の無理数性は、正方形の折り畳みで示すことができます」という記述であった。いっぽう、図7.3のキャプション「√2の謎を解き明かす」の原文は、「Unfolding the mystery of √2」となっていて、「明らかにする」と「展開する」という意味のあるunfoldingという言葉を使っているのが洒落ている。

また、この直後にでてくる、「整数の平方根が整数にならなければ、それは有理数ではない」、つまり、整数の平方根には整数と無理数しかない、という命題も、わたしには目からウロコだった。