謎の星空2017/05/09 22:49

原故郷のスラヴ民族
先日、国立新美術館のミュシャ展で観た、『スラヴ叙事詩・原故郷のスラヴ民族』。これに描かれた星空がぴんとこなくて、もやもやした。

まず、注目したのは、画面左上のU字をひっくり返した星の並びである。これは、かたちとしては、かんむり座(北のかんむり座)が近い。その右に四角があり、これをヘルクレス座とすれば、位置関係は合う。しかし、かんむり座は、北極星をはさんでカシオペア座と反対側にある星座で、U字の開いたほうを地平に向ける位置は、北半球では考えられない。南のかんむり座と見ると、その右にある星の並びがさそり座に見えてこなくもないが、そもそも、南のかんむり座は、中部ヨーロッパからは見えないだろう。

しし座の頭とするのが一番それらしいかもしれない。その右下のY字ぽいのは、明るい星が多すぎるけれど、かに座、下の地平線近くの円弧は、うみへび座と、こいぬ座。その右の縦長の五角形は、ぎょしゃ座に見えなくもない。1月から5月、中部ヨーロッパの西の空では、これに近いかたちで見えるかも。しかし、ぎょしゃ座の左にあるはずの、ふたご座はどこに行った。その右上にあるV字はなんだ。画面の右のほうもよくわからない。うーん、やはり、かなり苦しい。

というわけで、ミュシャは、基本は写実描写のひとだが、この星空は写実ではなく装飾的なものである、というのが、とりあえずの結論だ。...あ、なんかいろいろ書いたけれど、よい絵です。

「生きている折り紙」など2017/05/19 22:16

◆「生きている折り紙」
以下のイベントの案内が届いていた。
第94回サイエンス・カフェ札幌「生きている折り紙」 by 繁富(栗林)香織さん
@ 紀伊國屋書店札幌本店、5/27(土)。事前申し込み不要。
詳細:costep.open-ed.hokudai.ac.jp
細胞膜を使った、文字通り「生きている」折り紙の話。栗林さんは、先日も折り紙応用技術的なニュースの解説でTVに出ていたらしい。
この日、わたしは九州。主催のCoSTEP(北海道大学の科学技術コミュニケーションに関する社会人大学的なもの)では、わたしも来年の1月に講師をする予定。

最近、折り紙周辺のニュースがちょこちょこと。

◆テントウムシ
数日前、東京大学の斉藤一哉さんのテントウムシの後ろ翅の折り畳みの研究がニュースになっていて、なんで今なのだろうと思ったら、論文が公けになったということだった。ニュースでは、バイオミミクリ(生物をまねた応用)が強調されがちだが、研究自体に、誰にも伝わる面白さがある。テントウムシは、メタルの巻尺みたいな構造があって、後ろ翅を広げるのが得意で、しまうのは「手繰り寄せ」なのでやや時間がかかる(よって「シミチョロ」をよく見かける)とか、カブトムシは収納するのが得意だけれど、広げるには大きく羽ばたいて遠心力を使うとか。

◆『正解するカド』
『誤解するカド 』というSFアンソロジーがでていて、折り紙的、幾何学的な響きがある題名だなあと思っていたら、この題名の元になった『正解するカド』というアニメーションの中に、球体折り紙が出てきて、筑波大学の三谷純さんが監修していた。