『本格折り紙√2』誤植2-1(蜂の巣の末端)2011/09/17 19:18

蜂の巣
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蜂の巣は、ロウを最も節約する構造であり

蜂の巣は、ロウを節約する構造であり

『本格折り紙√2』の作品に頻出するマラルディの角度(約109.5度)に関連する話題として、上記のように「蜂の巣は、ロウを最も節約する構造」と書いたが、『かたち-自然が創り出す美しいパターン』(フィリップ・ボール著 林大訳)によって、以下のことを知ったので、「最も」を削除する。

蜂の巣に見られる、閉じた六角柱の束が背中合わせになる場合の隔壁の最小面積は、六角柱の中心軸が反対側の六角柱の辺に合う、といった条件下では、マラルディの角度を持つ菱形になるが、違う条件では、かならずしもそうではない。


『かたち』で触れられた、この点に関する内容を要約すると、以下となる。

1964年に、数学者ラースロー・トートが、この問題の「解の可能性の範囲を広げ、正方形と六角形の面からなるもっと精巧な構造のほうがほんのわずかだけ表面積が小さいことを発見した。」 ケルビンの十四面体の部分を使った構造である。

物理学者デニス・ウィアとロバート・フィーラン(北京オリンピックの水泳会場・ウォーターキューブの構造の元になった空間充填多面体を考え出した学者である)が、断面が六角形になる泡による境界は、境界面の厚さにより、ケルビンパターンとマラルディパターンの2種類で安定することを示した。


なお、同書には、マラルディの名がでてこず、この菱形の角度の問題について、生物学者・ルネ・レオミュールが問題を立て、数学者・サムエル・ケーニッヒが、できたばかりの手法であった微積分をつかって解いたと記されている。
この点については疑問に思ったので、わたしが「蜂の巣問題」を知った本であり、『かたち』においても、主要な文献となっている古典・『On Growth and Form』(D'Arcy Thompson)にあらためてあたってみた。『On Growth and Form』には、邦訳(『生物のかたち』(柳田友道他訳))もあるが、抄訳であり、全文はGoogle Booksで読める。同書の記述をまとめると、以下である。

最大最小という概念を原理として問題をたてたのがレオミュールで、それを解いたのが、ケーニッヒである。それより以前に、マラルディが、「単純さと数学的な美しさというふたつの原理」によって計算した。
(2014/03/27 修正)

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