美は乱丁にあり(?)2011/01/02 11:31

 あけましておめでとうございます。
干菓子

乱丁

 さて。昨年の大晦日に買った『江戸幻獣博物誌』(伊藤龍平著)という本が、きわめて珍しい乱丁だった。「目次がないなあ」と思っていたのだが、17-32ページが繰り返されていたのである。ほんとうに珍しいので、記念にとっておこうかとも考えたが、返金してもらった(書店に在庫がなかったので、本はまだ入手していない)。

折り丁

 なぜ、17ページからなのかということだが、これは2の4乗プラス1ということである。
 書籍というのは、通常、2の累乗ページを1枚の「折り」に印刷し、これを折り畳んで裁断する。よって、8、16ページなどが単位になるのだ。16ページの場合は、図のようになる。
 ページがどのように配置されるかは、ちょっとしたパズルだ。

カーブミラーのスポットライト2011/01/11 12:52

カーブミラーのスポットライト
 昨日の正午前、南東を向いているカーブミラーが、路上にスポットライトをつくっているのを見た。ほぼ真円になっていたのだが、これはなぜかということを考えた。

 まず、この「円」は、太陽の輪郭によるのではなく、鏡面の輪郭によるものである。「鏡面の直径÷投影面までの距離」が、太陽の視直径(ラジアン単位)より充分小さい値であれば、投影面に太陽の像が確認できるだろう(追記:カーブミラーは、鏡面が大きすぎ、かつ反射光が広がるので、光量が足りず、像を結ぶのは難しい)が、これはそうではなく、鏡面のかたちが地面に投影されたものである。
 問題は、地面と鏡面のなす角度が大きいのに、その投影像が真円に近いのはなぜなのか、ということである。

 鏡の下向きの角度を10度、太陽の高度を30度、太陽の方位角を鏡の正面とすると、概略は図のようになる。横と正面から見た図である。図の下のミドリの楕円と赤い「円」は、真上から見た投影された像である。ミドリの線が平面鏡の場合で、その投影像は、かなりつぶれた楕円になる。赤い線が凸面鏡の場合で、その投影像は、楕円錐を斜めに切ったかたちとなると考えられる。この角度の場合、楕円錐の楕円と、斜めに切ることによる楕円が相殺されて、ほぼ円になったわけだ。

 面白い現象である。ミラーに対して太陽が正面になるとき、その高度が低く、かつ路面が影になる場所と季節で見ることができる。

サカナのマス2011/01/17 20:47

サカナのマス
 ざぶとん折りをしたサカナの基本形を使った同様のモデルは、田中具子さんのものなど、すでにあるのだけれど、ざぶとん折りをしなくても、うまくまとめることができた。

 サカナの基本形からつくった升なので、名付けて「サカナのマス」であるが、それだけでは、「鱒(trout)?」ということになるのであった。

 わかりにくいと思うけれど、本ブログには珍しく、工程写真を載せてみた。

立方体に内接する立方体2011/01/20 21:08

立方体に内接する立方体
 立方体に内接する立方体や正八面体を使った折り紙モデルを考えているうちに、「立方体のすべての面に接する立方体の最小サイズはどうなるか」という問題にはまってしまった。これは、想像よりややこしい問題であった。

 この問題に関しては、Carl Parkesさん-David Eppsteinさん-Greg Huberさんの議論に詳細が記されているのを見つけたが、証明は面倒で、むしろ四次元の超立方体になるとすっきりするということである。

 答えを示すと、辺の比で3/5になり、8頂点のうち、面に接する6頂点が、5等分のメッシュ上に位置するというものである(図左)。なお、赤い線は、内側と外側の立方体が長い対角線を一本共有していることを示したもので、これが通る内部立方体の2頂点は面に接していないことになる。

 この解を外側の立方体の面に投影すると、図中央のようになる。この投影図も、解の対称性から、面白い特徴を持っていた。

 いわゆる、平面、立面、側面の、直交する三軸で描かれた三図が合同な投影図になっているのである。「真正面・真横・真上」の、どれもが正方形となる三面図の他には、立方体の三図が合同になる視点はこれだけである(間違いないはず)。図学などではよく知られた話なのかもしれないが、立方体の隠れた顔を見つけた思いである。図右は、その投影図を面に描いた、外側の立方体の展開図である。

正二十面体≒正四面体×202011/01/24 22:18

正二十面体≒正四面体×20
 正方形に正三角形のメッシュの折り目をつけたもの(図上 左)をいろいろと折ってみた。以前も試したパターンで既視感があったが、裏表を使った二色の正八面体(写真上 中と右)などが、きれいにまとまった。そして、凹んだ「五角形」(写真中 左)もできたのだが、これには、一瞬とまどった。この立体の穴の部分は正四面体である。では、この立体が示すように、五つの正四面体をすきまなく貼り合わせることができるのか? じっさいは、そんなことはない。正四面体の二面角は約70.5度で、360度/5=72度に近いが、ぴったりではない。

 しかし、近い値ではある。これは、つまり、正四面体20個で正二十面体が近似できるということである(図下 左)。これは、ほとんど考えたことがなかった。
 ということで、いわゆる「テトラパック」20個で正二十面体をつくるというアイデアが浮かんだ。そして、さきほど、個包装のまめ菓子を買ってきて、じっさいにつくってみた。ちょうど20袋入りだったのはよかったが、この四面体の面は、正三角形からけっこうずれた二等辺三角形だったので、すきまがすこし多くなっってしまった。

『本格折り紙√2』図のミス 22011/01/25 21:20

『本格折り紙√2』図のミス 2
105ページ 「賽は分けられた」展開図
赤い線で示したもの

誤:鎖線(山折り)
正:破線(谷折り)

指摘くれた読者のかた、ありがとうございました。