多面体の展開図の発明者2009/09/30 08:28

正十二面体展開図
  『藝術と數學及び科學』(三上義夫 1929)(『文化史上より見たる日本の数学』(佐々木力編 所収)を読んでいて、以下の記述に遭遇した。
デューレルは紙上に正多面体および半正多面体の側面をなすところの諸多角形を接続して描き、その縁に沿うて紙を折り、その多面体を作ることを考えたが、これはデューレルが初めて試みたことであった。
 (デューレルというのは、今日的表記ではデューラー、つまり、北方ルネサンスの雄・アルブレヒト・デューラー(1471-1528)のことである)
 デューラー以前には、多面体の展開図はなかったということなのかと、意外だったので、ちょっと調べてみようと、本棚の肥やし状態になっていた『多面体』(P. R. クロムウェル著 下川航也 他訳)を開くと、多面体を平面に展開して示したのは、すくなくとも記録にのこっているかぎり、じっさいにデューラーが初めてらしいことがわかった。
 同書では、さらなる「発見」があった。以前このブログで触れたヤムンツェルが、デューラーを尊敬する「ヤムニッツァー」として大きく取り上げられていたのだ。彼は、『正立体の遠近法』(1568)という多面体史における重要な本の著者なのであった。
 図は、デューラーによるものと同じように描いた正十二面体の展開図。